2017 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌進展を負に制御するコレステロール酸化代謝物のメカニズムの解明
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15K16224
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
田中 亜路 安田女子大学, 薬学部, 講師 (60509040)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コレステロール / 大腸がん / ポリアミン / アノイキス |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌細胞特異的にアノイキスを誘導する生理的分子である25-ヒドロキシコレステロール(25-HC)に対し、拮抗する効果をもつ化合物を探索するために、これまで利用していた足場非依存性増殖活性スクリーニング系に加え、三次元培養増殖活性スクリーニング系を確立した。三次元培養増殖活性スクリーニング系により、より生体内の環境に近い状態でのスクリーングが可能になったことに加え、データ間のばらつきを押さえ込むこと、また1アッセイに必要な日数を5日間から3日間に短縮することに成功した。 これらを利用し、文部科学省新学術領域研究『がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動』班より配布された標準阻害剤キットを用いた探索をおこなった。その結果4種の候補化合物を選抜し、そのうちのひとつであるDFMOについては詳細な検討をおこなった(他の3種類についても引き続き検討中である)。DFMOはポリアミン合成酵素の阻害剤であるが、これまでにコレステロール代謝やシグナル伝達系に関与するという報告はなされていない。細胞内あるいは大腸管腔の食塊内に大量に存在するポリアミンとコレステロールの代謝系の接点として、25-HCによる大腸癌細胞のアノイキス誘導現象が起こる可能性がある。大腸管腔という身体内でも特異な環境において、食生活が多大な影響を与えることが判明している大腸がんの発症・進展のメカニズムにおいて新たな知見を開くものである。 現時点で得られているデータを2018年3月の日本農芸化学会(名古屋)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家政学部から薬学部への異動にともなう諸事処理の対応により、研究時間が確保できなかった。そのため、研究期間の1年延長を申請し、受理された。
大腸癌細胞特異的にアノイキスを誘導する生理的分子である25-ヒドロキシコレステロール(25-HC)に対し、化学的にリンカーを導入し、結合する分子を同定する計画を立案していた。しかし、リンカー導入25-HCの合成に困難が生じている。量的な確保も視野にいれ、現在コレステロールからの合成にトライしている。
研究計画のフォローとして行なっていた阻害剤ライブラリからのスクリーニングにより、ポリアミン合成阻害剤DFMOが25-HCのアノイキス誘導活性と拮抗することを発見した。現在メカニズムを解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、リンカー導入25-HCの大量合成の検討をおこなう。 フォロー研究から発展したポリアミン合成阻害剤DFMOの25-HC誘導性アノイキスに対する拮抗効果についてメカニズム探索をおこなう。
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Causes of Carryover |
所属が家政学部から薬学部に異動となり、それにともなう諸事の処理のために研究時間が確保できなかった。繰越金により当初計画を遂行する。
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Research Products
(1 results)