2016 Fiscal Year Research-status Report
エストロゲン受容体遺伝子多型に基づく大豆製品摂取の認知機能に及ぼす影響の解明
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15K16228
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中本 真理子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (40722533)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大豆 / イソフラボン / 認知機能 / 知能 / 中高年者 / 長期縦断疫学研究 / 栄養疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は食事を介した認知機能の低下予防を目的とし、15年以上実施されてきた地域在住中高年者を対象とした長期縦断疫学調査から、大豆製品・イソフラボン摂取と認知機能との関連について検証するものである。食事量は3日間の食事記録調査から算出し、認知機能は認知機能障害スクリーニング検査(MMSE)を用いて評価した。 本年度は縦断的解析を中心に次の1,2の項目について検討した。1、大豆製品・イソフラボン摂取と認知機能との関連(縦断的解析):第2次から第7次調査まで参加している対象者において、一般化推定方程式を用いた解析を行ったところ、男性では豆類、総大豆製品、総イソフラボンの摂取と認知機能の低下(MMSE23点以下へ低下)に有意な関連は見られなかったものの、女性においては豆類、総大豆製品、総イソフラボンの摂取量が1標準偏差分増加する場合の認知機能低下に対するオッズ比はそれぞれ0.48(p<0.01)、0.51(p<0.01)、0.55(p<0.05)であった。2、大豆製品等に関する摂取量の経年変化(縦断的解析):線形混合モデルにより、豆類や各大豆製品摂取量が15年間の追跡期間中にどのように変化するかを推定したところ、男女ともに豆類、総大豆製品摂取量については、年齢や時間経過による大きな変動は見られなかった。しかし、しょうゆ、味噌といった調味料類に関しては、男女とも摂取量が年々減少していた(p<0.05)。 豆類、大豆製品およびイソフラボン摂取は特に女性の認知機能低下予防に関わっている可能性があることを明らかにした。また、今後、交絡因子等を考慮したさらなる詳細な検討が必要だが、豆類や大豆製品の総摂取量は年齢や経過年数によって大きく変化しないものの、大豆製品の種類によっては、その摂取量が年々減少している可能性があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、中高年者の豆類・大豆製品摂取、ならびに大豆イソフラボン摂取と認知機能との関係について、縦断的に検討することを計画していた。 平成28年度に実施した縦断的解析から、男性では豆類、総大豆製品、総イソフラボンの摂取と認知機能の低下(MMSE23点以下へ低下)に有意な関連は見られなかったものの、女性においては豆類、総大豆製品、総イソフラボンの摂取量が増加すると認知機能低下リスクが有意に減少することを明らかにした。この結果は平成28年度に開催された国際アルツハイマー学会議(AAIC)にて報告した。また、これらの成果について原著論文にまとめ、現在投稿中である。このほかに、豆類、大豆製品、大豆イソフラボンなどの摂取量が15年間でどのように推移しているかについて平成27年度からさらに検討を進め、豆類や大豆製品の総摂取量は年齢や経過年数によって大きく変化しないものの、大豆製品の種類によっては、その摂取量が年々減少している可能性があることを見出した。当該年度において得られた成果は、本研究の目的を達成する上で重要な知見になると考えられる。また今後の研究遂行に必要な予備知見を得ることができたことで、次年度においても研究が順調に進展するものと考えられる。以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方向性は申請書に記載した通り進める予定である。平成29年度は、引き続き、豆類や各大豆製品、イソフラボンの摂取量の経年変化について、交絡因子等を考慮した詳細な検討を行い、日本の地域在住中高年者の豆類摂取の推移を把握する。同時に、遺伝子型の違いによる豆類、大豆製品、イソフラボンの摂取と認知機能との関連について解析を進め、体質の違いによって生じる豆類、大豆製品、イソフラボン摂取の認知機能低下に与える影響の違いを検討する。これらの解析結果を踏まえた上で、どのような人が、どのような大豆製品をどの程度摂取することによって、その後の認知機能を維持する、あるいは、低下を予防することに有効なのかを疫学的に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた学会への参加や解析に関する情報収集のための講習会への参加が出来なかったものがあり、計上していた旅費等の使用計画に変更が生じた。また、計上していた研究補助員人件費・謝金の使用計画に変更が生じたことから、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の平成29年度での使用計画は以下のとおりである。 当該年度に購入できていなかった本研究に関連するゲノム関連図書、認知機能や統計解析に関わる図書、ならびに資料整理用の器具を、設備備品費として使用する予定である。また、消耗品費としては、次年度以降のデータ解析や成果発表等で必要となるソフトウエアを追加で購入するために使用する。さらに、研究を発展させるために、積極的に情報収集や成果の発表を行うための学会参加費・旅費などに使用するとともに、本研究に関連した成果を原著論文として投稿予定であり、これらの英文校正および論文投稿費用として使用する。
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Remarks |
国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究 (NILS-LSA)研究紹介ページ http://www.ncgg.go.jp/cgss/department/ep/topics/topics_edit24.html
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Research Products
(5 results)