2016 Fiscal Year Research-status Report
日本人のポリフェノール含量データベースの構築とポリフェノール摂取状況の把握
Project/Area Number |
15K16229
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
田口 千恵 お茶の水女子大学, お茶大アカデミック・プロダクション, 寄附研究部門助教 (60444121)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の2016年度には、ポリフェノール定量値のさらなる蓄積と、ポリフェノール摂取量の季節差の検討として野菜や果物からのポリフェノール摂取量に関する研究、さらにポリフェノール摂取量の個人内変動や個人間変動を調べてポリフェノール摂取量調査方法に関する検討を行った。 ポリフェノール定量値の蓄積では、初年度中に測定した112食材に加え、本年度中に32食材のポリフェノール含有量を測定した。推定可能な食材に関しては推定値を定めるために原材料からの計算などを行った。 季節差が大きいと考えられる野菜や果物に着目したポリフェノール量の季節差の検討では、家計調査の2015年月報データに掲載された生鮮野菜・生鮮果物の購入量データからポリフェノール摂取量を算出し、摂取量ならびに摂取源の季節差をみた。その結果、生鮮野菜からのポリフェノール摂取量の季節差はほとんどみられず、全ての月でたまねぎが摂取源の一位であった。生鮮果物からのポリフェノール摂取量は夏に少なく12月が最も多く、その季節差にはみかんやいちごの関与が大きかった。野菜と果物から摂取しているポリフェノール量にはある程度の季節差が存在することが示唆された。これらの結果は学会発表、論文発表を行った。 ポリフェノール摂取量調査に関する検討では、詳細な食事記録を実施し、ポリフェノール摂取量の個人内変動、個人間変動について調べた。ポリフェノール摂取量の個人内変動係数は43.6%と比較的大きく、個人間変動係数は45.9%で27種の栄養素等のそれと比べて最大であった。集団内での摂取量ランク付けに必要な調査日数は相関係数0.9として4日以上、習慣的な摂取量の推定に必要な調査期間は誤差範囲±10%として19日間であった。これらの結果は、学会発表、論文発表(印刷中)を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリフェノール定量値の蓄積はおおむね目標通りに進んでいる。 ポリフェノール摂取量の季節差については、初年度に日本人の飲料からのポリフェノール摂取量は夏に少なく冬に多いことを報告し、本年度に野菜と果物から摂取しているポリフェノール量の季節差はわずかではあるものの夏に少なく冬に多く可能性が高いことを報告し、これらの結果から、食事全体においても夏にポリフェノール摂取量が少ないことが推察された。 また、ポリフェノール摂取量調査方法の検討として、これまでにわかっていなかったポリフェノール摂取量の日間変動を求め、ポリフェノール摂取量推定の目的に応じた必要な調査日数に関する知見を得ることができた。 初年度、本年度ともに学会発表、論文発表にて成果をまとめることができ、日本人のポリフェノール摂取量の実態を把握する研究は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度、本年度に続き、ポリフェノール含有量を測定し、データを蓄積する。それに加え、最終年度はデータのとりまとめを行う。 ポリフェノール摂取量の季節差の検討では、これまで飲料、野菜・果物のみの検討であったため、食事全体から摂取するポリフェノール量に季節差が存在するかどうかを調査するため、同一の対象者に季節を変えて年に4回食事調査を行い(実施中)、その結果の解析を行う。 また、ポリフェノール摂取量と関連する因子の検討として、ポリフェノール摂取量と健康診断で得られる血液マーカーとの関連を検討していく予定である。
|
Causes of Carryover |
測定試薬を効率的に使用することができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
残りは試薬購入に使用し、予定よりも多くの測定を行うこととしたい。
|
Research Products
(5 results)