2015 Fiscal Year Research-status Report
新たな指標の導入を目指した抗肥満活性評価・解析システムの実現
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15K16233
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
海野 雄加 帝京大学, 医学部, 助教 (30433212)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肥満 / 脂肪細胞 / ケミカルバイオロジー / 分化機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は国民の健康と国家財政において深刻な問題だが、エネルギー収支を基準とした個人の生活習慣の改善に委ねられている。この個人の努力を機能性食品は促進するが、抗肥満活性の統一的基準は十分に確立されていない。そこで本研究では、細胞イメージング技術により抗肥満活性評価・解析システムを構築し、個体レベルでの肥満解消を予測可能なシステムへと磨き上げることを目指す。 本年度は、脂肪蓄積量解析と置き換えが可能な生体因子の探索を行った。抗肥満効果を示す既存の健康食品の中から、培養細胞に直接作用して分化を誘導するものを見出した。健康食品が誘導する成熟脂肪細胞は、通常の薬物刺激による成熟脂肪細胞と比較して、形態学的に大きく異なっていた。また、分化に伴い細胞質中の8-ニトログアノシン量が増加することを、平成26年度日本学術振興会科学研究費補助金(若手研究(B))の報告書「新たな指標の導入を目指した革新的な抗肥満活性評価システムの構築」にてすでに報告済みであるが、8-ニトログアノシンに付随して上昇する新たな生体分子の存在を明らかにした。 平成28年度では、健康食品が導く特徴的な成熟脂肪細胞の特徴を調べ、抗肥満活性評価・解析システムの構築を目指す。さらに、8-ニトログアノシンに付随する新規シグナル分子の作用機序の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、科学研究費補助金[スタートアップ(計1回)、若手研究(B)(計1回)]を拝受し、細胞イメージング技術により抗肥満活性評価・解析システムを構築し、個体レベルでの肥満解消を予測可能なシステムへと磨き上げることを目指している。本年度は、同補助金(若手研究(B))の初年度として、抗肥満効果がすでに報告されている既存の健康食品の中から、脂肪分化を導く食品を見出した。また、この健康食品が誘導した成熟脂肪細胞は、通常の薬物刺激による成熟脂肪細胞と比較して、細胞の形態が大きく異なっていた。更に、分化に伴い細胞質中の8-ニトログアノシン量が増加することを、平成26年度日本学術振興会科学研究費補助金(若手研究(B))の報告書「新たな指標の導入を目指した革新的な抗肥満活性評価システムの構築」にてすでに報告済みであるが、8-ニトログアノシンに付随して発現が上昇する新たな生体分子を明らかにした。これらの成果を合わせれば、次年度以降、脂肪蓄積量解析と置き換えが可能な生体因子の決定と共に、細胞イメージング技術による抗肥満活性評価・解析システムの構築に繋がるものと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進方策は、これまでの実験を継続するとともに、以下の実験を進める。 1)健康食品が導く成熟脂肪細胞の特徴を解析する。 2)健康食品が導く成熟脂肪細胞の形態学的特徴を数値化する。 3)8-ニトログアノシンに付随した新たな生体分子の役割を解明する。 1)~3)から得られる知見を基に、細胞イメージング技術による抗肥満活性評価・解析システムの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
前倒し支払請求を行ったため、本来よりも多く研究費を使用することが可能となった。前倒し申請時に計画したよりも早い段階で結果が得られたため、不必要となった研究費は次年度へと繰り越した。このために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金と共に、以下の研究を遂行するために使用する。 27年度の研究で見出した健康食品が導く成熟脂肪細胞に関して、形態学的特徴や機能変化を解析し数値化する。すでに見出した新規生体分子に関しても、その作用機序を引き続き解析し数値化する。この過程を通じて抗肥満活性を評価可能な解析システムの構築を目指す。
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Research Products
(4 results)