2017 Fiscal Year Annual Research Report
A novel function of polyphenols: Analysis of preventive effect of lifestyle-related diseases based on stress proteins
Project/Area Number |
15K16234
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
遠藤 弘史 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (30567912)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ストレス蛋白質 / 食成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代初めに,アメリカ国立がん研究所はそれまでの研究報告を基にデザイナーフーズとしてがん予防効果があると考えられる食品を発表した.これらの食品成分の抗がん活性は抗酸化作用や,抗炎症作用によるものであることは明らかとなった.しかし,当研究のターゲットであるストレス蛋白質の発現量に与える影響はほとんど解析されてこなかった.我々はこれまでにウコンの主成分であるクルクミンや,トウガラシの辛味成分であるカプサイシン,柑橘系果実の果皮に多く含まれるヘスペレチンがヒト肺癌細胞A549とヒト大腸癌細胞Caco-2でストレス蛋白質の発現を変化させることを見出している.加えて,A549とCaco-2に対してクルクミンやカプサイシン,ヘスペレチンといったストレス蛋白質の発現を抑制する食成分による細胞死誘導効果と,細胞周期停止作用の詳細な細胞内メカニズムを明らかとしてきた.その結果については学会で報告し,論文投稿準備中である. また,ストレス蛋白質の発現を抑制する食成分を見出したことで,過去に我々が報告しているNSAIDsの一つであるイブプロフェンと同様に,抗がん剤シスプラチンの使用量を減らせる可能性も示唆された. 最終年度は以上のことに加え,クルクミンやヘスペレチンは,がんの悪性化に重要な役割を担っている癌幹細胞に対しても抑制効果を示すことを新たに見出した.抗癌剤は癌幹細胞への抑制効果が低いことが知られており,このことは食成分の持つ新たな抗腫瘍活性の機序について新たな研究への可能性を有している. 以上の事より,本研究結果はがんの発症はその人の生活習慣,特に食習慣への依存性が高く,食を用いたがんの予防に大きな意味を持つと考えられる.
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