2015 Fiscal Year Research-status Report
食事中の食物への注意が食後の熱産生と満腹感に及ぼす影響
Project/Area Number |
15K16236
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
佐野 尚美 県立広島大学, 人間文化学部, 助教 (20433394)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食物への注意 / ながら食べ / 食欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,食物への注意度の測定・評価方法,および食事中の食物への注意度が食後の空腹感と満足感に及ぼす影響を検討した。健康な成人男女9名は視線追跡装置を装着し,5分間の座位安静後,テレビを視聴しながら基準食(シリアル+牛乳)511 kcalを摂取し,2時間の安静を保った(Non Attentive Eating, n-AE)。対照条件として,基準食に視線を集中して摂取するように指示した(Attentive Eating, AE)。実験は早朝空腹の状態で行った。食事中,被験者の食事の様子を観察するために,目立たない位置から動画を撮影した。測定項目は,食事時間,食物への注意度(食事時間に対する食物の注視時間の割合),咀嚼回数,食事の直前・直後,食後30,60,90分の主観的な空腹感および満足感(Visual analog scale)とした。食事時間は両条件間に違いがなかった。食物への注意度は,AEが約90%,n-AEが約5%であった。咀嚼回数は両条件間に違いがなかった。主観的な空腹感は,総じて,AEに比べてn-AEが有意に高く,満足感はn-AEが有意に低かった。食事中に食物への注意を阻害した場合,食後の満足感が得られにくく,空腹感を感じやすくなること,いわゆる「ながら食べ」が過食へつながる可能性があるという重要な示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画としていた,食物への注意度を測定・評価する方法の確立を行うことができた。さらに,食事時間や咀嚼様態とは関係なく,食事中に食物への注意を妨げることが,食後の満足感を低下させ,次の食事までの空腹感を高めることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立した食物への注意度の測定・評価方法を用いて,食物に注意を向ける食べ方と,食物への注意を妨げる食べ方を行い,食後の胃運動ならびに食事誘発性体熱産生といった生理応答,空腹感・満足感を両条件間で比較・検討を行う。また,食後6時間の時点で,実験時に摂取した食事内容および食事量の記憶を評価する。今後の研究は次の計画で行う予定である。平成29年度4月に本実験の内容を所属機関の倫理委員会へ申請する。承認が得られた後,直ちに実験を開始する。実験は5月~7月にかけて予備実験を行う。本実験は8月~10月に実施する。視線の解析には多くの時間を要するため,実験終了以降は,データ解析の期間とする。
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