2015 Fiscal Year Research-status Report
食事に由来するプリン体の体内動態の解明と高尿酸血症予防への応用
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15K16238
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
福内 友子 帝京大学, 薬学部, 助教 (10389116)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 尿酸値 / プリン体 / 痛風 / 食品 / HPLC / 一斉分析 / 腸管吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品中のプリン体は、総プリン体量(尿酸換算値)として評価されることが多いが、プリン体の存在様式は様々であり、腸管吸収および尿酸への代謝過程、さらにエネルギーとしての再利用効率が一様ではないことも考慮すべきである。本年度は、食品を分子種別にプロファイリングする研究を進めると共に、各種プリン体を負荷した際の消化管での吸収様式、およびプリン代謝動態について一斉モニタリングし、分子種別プリン体の尿酸値上昇への影響を評価することを目的とした。消化管における吸収様式の評価には、透過性膜状に単層培養し腸管上皮様に分化させたヒト結腸癌由来細胞Caco-2を用い、経時的に透過液を回収した。プリン代謝動態の評価には、ノンコートプレート上に播種したCaco-2細胞および肝がん由来細胞HepG2細胞を用い、細胞外液および細胞抽出液を回収した。評価したプリン体は、プリン塩基5種、ヌクレオシド4種、ヌクレオチド9種である。透過試験の結果、アデニン、ヒポキサンチンなどの塩基は、比較的透過しやすいことが明らかになった。ヌクレオチドやヌクレオシドは代謝を受けやすく、透過液中に代謝物が経時的に増加した。プリン代謝動態試験の結果、アデニンやアデノシン、イノシン負荷により、細胞内ATPレベルが大きく増加することから、負荷されたプリン体は主に、細胞内への取り込み後サルベージされ、再利用されていると考えられる。以上の結果より、肉類は、イノシンやヒポキサンチンなどの消化管吸収を増加させることにより、また、アデノシンなどのヌクレオシドを多く含むビールも同様に、消化管でのイノシンへの代謝を介して、血清尿酸値上昇に寄与していると示唆された。プリンリッチ野菜類に含まれるアデニンなどのフリー塩基は、細胞内でサルベージされやすいこと、また、アデニンそのものとして吸収されるため、血清尿酸値上昇につながりにくいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初に設定した平成27年度の課題「各々のプリン体を負荷し、プリン体の種類別による腸管吸収、再利用効率および肝臓での代謝動態への影響を、培養細胞を用いて経時的に定量する」に加え、次年度以降の課題である「ヒト尿酸代謝モデル動物を用いた、食事由来プリン体の血液および尿中尿酸値上昇への影響について検討する」「プリン体計算アプリケーションを構築する」についても平行して取り組むことができたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の計画を継続して遂行し、例数を集める。さらに、これまでに報告されている疫学調査研究を元に痛風や尿酸値上昇リスクとの相関性を探る。これまで理解が難しかったプリン体含有量と尿酸値上昇に相関がない食品についても、新たな知見を提供することで、年々増加傾向にある痛風・高尿酸血症の予防に役立てたい。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額はわずかに異なった。また、当初予定していたホームページ作成のための人件費を計上していたが、研究室としての運用に変更したため、初期負担額が減り、当該年度の研究費に未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に変更はなく前年度の研究費も含め、今年度行う予定の研究計画と併せて進めていく。
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[Presentation] 豆類に含まれるプリン体量の測定2016
Author(s)
樋口 華捺, 高柳 ふくえ, 神代 くるみ, 福内 友子, 山岡 法子, 安田 誠, 馬渡 健一, 中込 和哉, 金子 希代子
Organizer
日本薬学会第136年会
Place of Presentation
横浜市
Year and Date
2016-03-26 – 2016-03-29
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[Presentation] LC-MSを用いた高プリン体食負荷におけるマウス血しょう、尿および臓器中のプリン・ピリミジン塩基の体内動態の評価2016
Author(s)
河野 眞土加, 早川 洸, 秋元 南, 東 奈実, 酒井 紫帆, 富岡 直子, 福内 友子, 山岡 法子, 安田 誠, 馬渡 健一, 中込 和哉, 細山田 真, 金子 希代子
Organizer
日本薬学会第136年会
Place of Presentation
横浜市
Year and Date
2016-03-26 – 2016-03-29
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