2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Significance and Issues of Wildlife Conservation Education Related to Re-introduction Project among Endangered Species
Project/Area Number |
15K16248
|
Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
本田 裕子 大正大学, 人間学部, 准教授 (00583816)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 野生復帰事業 / コウノトリ / ツシマヤマネコ / 野生生物保全 / 兵庫県豊岡市 / 長崎県対馬市 / 副読本 / 交通事故対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生生物保全の中でも、本研究ではコウノトリの野生復帰事業とツシマヤマネコの保護活動に焦点をあて、調査研究を実施した。コウノトリの野生復帰事業では、2017年4月から兵庫県豊岡市の全ての小学校で実施されている「ふるさと教育」に着目し、その中でコウノトリ学習がどのように展開されているのかを、こども(本研究では小学校5年生に着目)・担当教員それぞれに着目して、把握した。学習内容は、コウノトリに関する調べ学習が中心であり、その結果をポスターにまとめたり、保護者向けに発表したり、またカルタを制作する小学校もあった。これまでコウノトリ学習の指導経験のない教員が多い中で、まずはコウノトリについて知る、調べることが学習の中心にあり、その際に重要な情報源となったのが副読本であることがわかった。この副読本は「ふるさと教育」実施にあたり豊岡市が作成したものであり、コウノトリについても写真やグラフが多用され、こどもたちにもわかりやすいと評価され、教員からも使いやすいと評価されていた。したがって、野生生物保全教育においては、副読本のような補助教材の存在が非常に重要であることがわかった。 ツシマヤマネコの保護活動では、特に減少の原因と危惧されている交通事故対策に焦点をあて、環境省対馬野生生物保護センターの協力の下、レンタカー店を中心に交通事故の注意喚起や事故の際の連絡方法を記したチラシの配布を行った。また、ボランティアとして大学生も同行させ、標識の清掃や管理作業も体験した。当該活動により、学生がツシマヤマネコについて知識・関心を深める機会になったことが明らかになった。また同時に、自分の意見を他者に説明する意欲の向上など、コンピテンシーの獲得も期待されることがわかった。 以上のことから、野生生物保全教育には補助教材の活用が重要であり、また同時にコンピテンシーの獲得にも寄与することがわかった。
|