2016 Fiscal Year Research-status Report
理科×ものづくり教材:化学的ピタゴラ装置の製作と教育効果の検証
Project/Area Number |
15K16250
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 美紗 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (00389420)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ピタゴラ装置 / 楽しい理科実験 / 面白い理科実験 / 難しい理科実験 / 不思議な理科実験 / 実験動画 |
Outline of Annual Research Achievements |
理科教員免許取得希望の大学3年生のうち,装置製作を希望した12名でプロジェクトチームを結成し,目標を実演公開と取り決め,化学的ピタゴラ装置の製作活動を実施した。 1)装置の製作:アクティブラーニング形式での立案,要素・つなぎの作成,装置の組み立てを行った。化学的ピタゴラ装置は「要素」と「つなぎ」から構成した。要素には印象に残りやすい化学的および物理学的な反応を条件に,全員のプレゼンテーションにより26候補から選定した。要素を提案したリーダーを中心に,その要素を実験作成したい希望者でグループを形成し,グループの重複は自由とした。また,つなぎには要素から要素へ反応や運動を伝える役割を持たせた。グループ単位での予備実験を経て作成した複数の要素を接続し,反応や運動が連鎖するようつなぎを加えて調整を重ね,最終的に8ケの要素とつなぎが連続したひとつの化学的ピタゴラ装置を製作した。 2)装置の公開:展示、実演、解説,動画公開を行った。福岡県青少年科学館で開催されたイベント「青少年のためのサイエンスモールin久留米」に出展し,展示,実演および解説を実施した。毎回司会進行役を決め、装置のスタートとゴールを説明してから装置を稼動した。実演後はすべての要素とつなぎに対して解説した。このイベントでの実演を撮影,編集して動画を作成し,公開した。 3) 教育効果の検証:装置を製作した学生と観察したこどもに対するアンケート調査を行った。装置製作した教員志望学生に対し,装置の計画立案,予備実験,要素とつなぎの作成,イベント準備,実演と解説の全工程を経験することでもたらされる客観的な影響と,自らに対する主観的な影響をアンケート調査により評価した。 また,福岡県青少年科学館でのイベントにおいて,装置を観察したこどもに対し実演前後アンケートを実施し,意見の変化から実験に対する意識の変化や興味関心を持った点などを調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)平成28年度版の装置の製作が実施できた。 プロジェクトチームで取り組むことができた。これまでの試作装置と比較して,要素数が多く,見せ場となる化学実験を複数織り込むことができた。ひとつの装置として連鎖させることができた。連鎖稼働時間を増やすことができた。 2)実演公開することができた。 青少年科学館のイベントに出展し,実演公開することができた。実演時には司会役が観察する流れを事前に説明したため,小学校低学年のこどもでも装置の進行を目で追うことができていた。実演後はタブレットやプロジェクターなどの映像を用いて解説を行い,実験の種明かしをした。小学校で履修しない実験内容が多かったが,わかりやすく解説できた。実演の前後にアンケート調査を行うことができた。本来想定していた中学生の観客は少なく,ほとんどが小学生であった。 3)動画公開することができた。 実演公開の様子を撮影し,編集して動画を作成した。動画は大学ホームページ及び動画サイトで公開した。また,動画を使ってアンケート調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)研究成果の発表を行う。 教員養成課程での理科及びものづくり教材としてどのような効果があったかを,装置製作プロジェクトメンバーに対するアンケート結果から考察する。また,実演を観察したこどもに対してどのような効果があったかを,実演前後のアンケート結果を比較して考察する。以上の内容を公表する。 2)観察対象として想定していた中学生に対する動画の観察を実施する。 3)装置の目的別改良を実施する。 目的用途に合わせた装置を設計製作する。目的用途の研究のために科学館見学等を行う。単元別の導入教材や演示実験,文化祭の出し物などの各種スケールで規格し,持ち運びや実施の簡便化を実現する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が平成27年6月に交通事故により負傷し,入院,リハビリ通院,再入院により平成28年8月まで費やした。そのため実験及び研究指導ができない状況や期間がしばしば発生し,当初計画の遅延に伴う研究計画の変更を余儀なくされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)研究成果の発表を行うため,学会発表等の旅費,謝金,学会参加費に使用する。 2)中学生に対する動画観察を実施するため,謝金に使用する。 3)装置の目的別改良を実施し,目的用途に合わせた装置を設計製作する。製作材料購入費,撮影機材購入費,謝金に使用する。目的や用途を研究するための教材購入費や科学館見学に際する旅費に使用する。
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