2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K16253
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
藤井 宏行 香川高等専門学校, 電子システム工学科, 講師 (70585596)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 物理学 / シリアスゲーム / 3Dゲーム / 教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は当初の予定通り,3Dゲームエンジン・統合開発環境Unityを用いて,物理学学習3Dゲームの実装を主に行った。実装した3Dゲームは,教科書内に掲載されている練習・章末問題の物理法則をモチーフとした設定とした。ゲーム内では,まず問題を解くために覚えておく必要がある公式の入力を求める。公式が正しく入力されると,その公式を使って解く(式変形が必要な場合もある)計算問題が出題され,計算結果を入力して回答ボタンを押下するよう指示が出る。この際,正解・不正解時で異なる画面効果が表示されるが,不正解時にはあえて派手なエフェクトを実装している。これは不正解であっても本ゲームによる学習を続ける動機付けを目的としている。 平成27年度では予定よりも多くの3Dゲームの実装を完了することができた。その中でも特に早く実装が終了した「フックの法則(ばね)」,「自由落下」,「摩擦力」,「浮力」,「熱量」に関する3Dゲームを用いて模擬授業を行った。模擬授業は高専1年生~5年生までの計24名に対して行われ,通常のプリント課題を解いてもらった後に,同じ問題をモチーフとした3Dゲームで学習してもらった。学習終了後アンケートを取ったところ,約80%の学生が「3Dゲームでの学習を楽しんだ」,約67%の学生が「従来のプリント課題よりも分かり易い」,「3Dゲームが物理学の直感的な理解を助ける」と答えた。これにより,本研究の目標である「物理学を直感的に理解し,学生自ら問題を解くモチベーションを向上できる」教材が実現できていることが確認された。その他にもインターフェースの改善に関する意見やゲームシステムに関する意見が得られており,それらを取り入れた改良も既に実施している。 また,ゲームサーバーおよびゲームシステムに関しては,平成27年度は実装に至っておらず,今年度注力する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度末までに,東京書籍の検定教科書「物理」における「1編 力と運動」の章における「速度,加速度」「自由落下」「斜方投射」「摩擦力」「フックの法則(ばね)」「浮力」だけでなく,「2編 熱」の章における「熱量」,「3編 波」における「波の表し方(正弦波,周波数,周期)」,「波の干渉(重ね合わせ)」,「光の干渉」に関する3Dゲームの実装が完了し,今年度の研究実施計画以上のテーマについてのゲーム化が完了した。 そのうち,早く実装が完了した「フックの法則(ばね)」,「自由落下」,「摩擦力」,「浮力」,「熱量」の3Dゲームを用いて模擬授業を行い,アンケートを実施した。その後,得られたアンケートをもとにゲームシステムやUIの変更も行っており,ゲームの改良についても順調に進んでいる。 ただし,ゲームサーバーおよびゲームシステムに関しては,平成27年度は実装に至っておらず,今年度特に注力する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,未実装の学習項目である「電気と磁気」,「原子」に関する問題のゲーム化を行い,本校で用いている教科書「物理基礎」,「物理Ⅱ」における全学習項目の網羅を目標とする。これらのゲーム実装には,昨年アンケートで得られた意見を初めから反映する。 次に,昨年度実施した模擬授業以降に実装が完了したゲームに関しても実際に学生に利用してもらい,学習効果,操作性,演出効果についてアンケートを実施し改良を行う。まず,平成28年度初頭には力学や波に関するゲームについて,前年度より多くの学生に利用してもらい,アンケートを実施する。その後,結果を集計・分析し,ユーザーインターフェイスや学習効果の評価を行い,得られたデータを基にゲームの改良を行う。 さらに年度後半には,波,電気と磁気に関するゲームについて,同様の項目についてアンケートを実施,さらなる改良を行う。改良については平成28年度中に終了することを目標に進めていく。 サーバー環境の構築および種々のゲームシステム構築は遅れが出ているため,今後特に注力する。サーバー構築は平成28年度前半に終了することを目標に,研究協力先である地元香川県のソフトウェア会社(真空電気システムズ株式会社)に協力を仰ぐ予定である。ゲームシステムの構築は,年度中に終了することを目標とする。
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Causes of Carryover |
サーバー用計算機を購入し外部公開用のプログラムを実装予定であったが,学内サーバーの外部公開に関する規定が見直しされることになったため,購入を見送る必要が出たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度,3Dゲームプログラムの実装用と研究室内サーバーを兼ねる計算機を購入し,サーバープログラム等を実装し,十分に接続実験を行った上で今年度外部サーバーによる公開を目指す。
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