2015 Fiscal Year Research-status Report
数学を主体とする論理的思考力育成および就業意識向上のための科学技術教材の開発
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15K16254
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
安里 健太郎 沖縄工業高等専門学校, 機械システム工学科, 助教 (10610321)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学技術教材開発 / 論理的思考力育成 / 就業意識向上 / 制御工学教育 / 数学応用学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,科学技術教育において「論理的思考の必要性」をテーマとした活動が少ない現状を踏まえ,『数学を主体とする論理的思考力の育成』および『就業意識のさらなる向上』を目的とした利用価値の高い科学技術教材の開発を行っている.本教材開発においては,「制御工学」に基づいて学習テーマを構築しており,当該年度は,「学習機器の試作開発」および「学習内容の考案」を行ってきた. 「学習機器の試作開発」に関しては,「磁気浮上装置」,「2輪倒立ロボット」,「球体位置決め装置」の3つの試作機を開発した.磁気浮上装置の試作開発では,ニューラルネットワークを利用したホール素子変位センサの開発が完了し,それを利用することで製作コストの大幅な低減化を達成することができた.2輪倒立ロボットの試作開発では,先行研究で製作した倒立ロボットのハードウェア(ジャイロスコープ,駆動用モータ,モータドライバ等)の再検討を行い,より低コストでシンプルな機器として構成することができた.球体位置決め装置の試作開発では,リニアポテンショメータを利用した位置センサを検討し,低コストでありながら耐久性・可搬性が高いものを製作することができた. そして「学習内容の考案」に関しては,「PID制御」の考えを基礎として,学習機器の制御がどのように達成できるのかを,論理的に考察できるような学習内容の構築を行った.この学習内容の構築にあたっては,ハードウェアの扱いや制御のためのプログラミングが学習の妨げとならないように配慮した.具体的には,マイコンボード「Arduino」および制御系設計ソフトウェア「Scilab」を活用して,グラフィカルに制御プログラムを作成でき,そのプログラムに基づいて機器の制御がリアルタイムで行えるように工夫した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画では,「学習機器の試作開発」および「学習内容の考案」を行うこと目標としていた.研究概要で述べたとおり,その目標はおおむね順調に達成することができている.また,その研究成果も学会発表等でおおむね計画どおり公表できている.
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Strategy for Future Research Activity |
学習機器の試作機が完成できたので,今年度はこれら試作機に多少の改良を加え,学習人数分の機器の製作(磁気浮上装置,2輪倒立ロボット,球体位置決め装置,それぞれ6台を予定)を行っていく予定である.また,これまで考案してきた学習内容と開発した学習機器のさらなるマッチングを図り,より洗練された科学技術教材として完成させていく. そして,今年度は,完成した教材を使って科学技術教育の実践も行う予定である.しかし,この実践にあたっては,難易度の観点で調整が必要となることが予想される.よって,難易度に関しては,アンケート結果等をフィードバックして慎重に検討していく予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が約7万円となっているが,これは予定していた学術論文掲載料の分である.2016年2月に電気学会論文誌Dに学術論文(タイトル:科学技術教育のための磁気浮上システムの開発‐ニューラルネットワークを利用したホール素子変位センサによる磁気浮上制御‐)を投稿しているが,2016年5月現在,まだ査読審査中であるため,当該年度での掲載料としての支出が生じなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
電気学会論文誌Dに投稿中の学術論文掲載が決定すれば,その掲載料として使用する予定である.仮に掲載が見送られた場合は,改善の上,他論文誌(システム制御情報学会を検討)へ投稿し,その掲載料として使用していきたい.
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Research Products
(11 results)