2015 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学級を対象とした作問学習の支援に関する研究
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15K16259
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山元 翔 近畿大学, 工学部, 助教 (90735268)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 特別支援 / 作問 / マルチメディア利用 / タブレット / 学習 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
算数文章題は日常生活と算数を繋ぐための重要な学習課題であり,その作問は教師にとっても行わせたい学習活動である.しかし文の処理を苦手とする児童の多い特別支援学級では,作問学習は実質的には実施の不可能な学習方法とされていた.これに対して本研究では算数文章題を対象とした単文統合型の作問学習支援システムにより,特別支援学級において作問学習を実施することを目的として,1.作問課題設定の細分化と,2.教師による設定可能化,および3.実践運用と効果の確認,を目指している. 平成27年度は,従来2名の中期利用の結果のみであった分析データを,4クラス17名に拡張することができた.この内1クラス1名を対象とした利用結果については,詳細な分析を行った上で,国内の学会で発表している.また,新たに4名の特別支援学級担当教員と議論を続けていく機会も得られた.これらの実験結果と担当教員との議論から,(1)課題の細分化に於いて指標となる要素,(2)教師による作成課題及び問題の設定手法についての知見が得られ,目的とする1, 2の設計のためのデータが揃った. 複数クラスの児童を対象とできたため,単文統合型の作問を実施可能な児童の特徴,児童の文の処理能力などの特徴によるシステム上で実施する演習への補助機能についての知見も得ることができた.また,文章の処理が適切に行える児童と,本研究で対象とした児童の比較も行え,後者の児童が,前者の児童と同程度の作問能力の改善が行える可能性も新たに示唆された. 以上の結果により,従来の分析結果からは得られなかった新たな知見が得られたこと,その知見に基づいて,予定より有用なシステムの開発が見込めると期待できる.なお,システムはベースとなるサーバについて,ローカルサーバの構築は既に終えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加減乗除の文章題を対象とした上で改良システムの開発までを行う予定であったが,加減の文章題を対象とした改良システムの設計と,ベースとなるサーバの作成に留まっている.これは計画時点で対象としていた人数よりも遥かに多い人数で設計のためのデータ収集が行えたこと,これにより多くの知見が得られ,分析や設計に当初より時間がかかったことに起因する. しかしながら,予定より多くの児童を対象とした実践利用が行える地盤が整えられており,課題設計や教師用システム開発のためのデータは揃っている.これらのデータは,課題の詳細化のみではなく,児童の特徴に合わせたインタフェースの改良も含んでおり,予定より有効なシステムの開発が見込める.また,システムを動作させるためのサーバの構築も終えている.従って,単文統合型の作問学習支援システムを特別支援学級で利用可能なように改良するという目的に対しては,当初より有効な結果が得られたと考えており,概ね順調と判断した.また,今回行った実践結果は国内外の学会で発表し,学術論文としてもまとめる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
従来システムの利用結果と教員との議論から,概ねシステムの設計方針は得られている.平成28年度は,システムの設計を終え,担当教員と再度議論した上でシステムを開発する.そして,実際に特別支援学級の児童を対象とした実践利用から,システムが特別支援学級に適した作問演習を実現していることを実証する.なお,この実践利用については秋ごろに行うことを既に担当教員らと計画している. なお,平成27年度はより幅広い特徴の児童を対象とした従来システムの追加検証が行えたため,当初予定していた課題の細分化の他に,児童に合わせたシステムインタフェースの設計と開発も追加で行うこととなった.
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Causes of Carryover |
当初予定では資料整理や資料収集に人件費を割く予定であったが,大学の異動により人員を確保できず,これらの作業を代表者が行ったため,この分の資金において差額が生じている.また,関連学会への調査も予定より少なかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,平成27年度実施の結果についての整理と,調査のために必要となる人員も増やし,こちらにこれらの資金を回す予定である.関連学会への調査も積極的に行っていく.また,検証実験から得られた結果について,国内外の学会で発表する予定である.
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Research Products
(2 results)