2015 Fiscal Year Research-status Report
eテスティングの信頼性向上の為の項目暴露を考慮した複数等質テスト構成手法の開発
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15K16260
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石井 隆稔 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (40741591)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | eテスティング / 複数等質テスト / 項目露出最小化 / 組み合わせ最適化問題 / クリーク問題 / 最大クリーク問題 / 線形計画問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主にアルゴリズムについての研究を行い、その成果を研究発表した。 本研究は複数等質テストを構成する際、なるべく同じ項目が少なく出題されるようなテスト構成手法を開発することである。この同じ項目が複数等質テスト中の何回出題されるかを項目露出と呼ぶ。本年度は項目露出を最小化するためのアルゴリズムについて研究を行い、この結果を、AIED2015においてポスターにより発表した。本アルゴリズムは、先行研究でのアルゴリズムの空間計算量を減少させ、効率的な解探索を可能とした。本研究では複数等質テスト構成をクリーク問題として解く。従来手法では非常に広大な探索を行うグラフから部分グラフをランダムに取り出し、その中の露出率が最小となるクリークの探索を繰り返すアルゴリズムであった。しかし、ランダムに部分グラフを取り出すと、クリークとならないような頂点も取り出してしまい、それが空間計算量を悪化させていた。新しいアルゴリズムでは、現在探索中のクリークと接続される頂点のみを構成することで、クリークとならないような頂点を主記憶上に保持することを回避し、探索効率の改善を行った。このクリークと接続されている頂点は線形計画問題として解くことが可能であることを発見し、これにより接続されている頂点の構成も高速化されている。結果として、従来手法よりも多くの複数等質テストをより少ない項目露出により構成可能となっている。 また本アルゴリズムは、従来手法である、より多くのテストを構成する手法にも応用が可能であったため、より多くの複数等質テストを構成する近似探索手法として、電子情報通信学会和文Dへ投稿を行った。本アルゴリズムでのテスト構成数は従来手法でのそれと比較し、条件次第で2倍程度多くのテストを構成可能となった。 これらの研究を遂行するにあたり、補助金を用いて、出張旅費とした。また、ノートPC、書籍を購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初、項目露出を最小化するためのアルゴリズムの調査・検討のみを行う予定であった。調査は順調に進み来年度は、アルゴリズムの開発が可能と考える。また、これらの調査・検討結果から、本来は予定になかった、テスト構成数を最大化するアルゴリズムの開発が可能となったため、当初の計画以上の進度であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は当初の計画に則り研究を進める。アルゴリズムの調査・検討については概ね完了しているので、今後はアルゴリズムの試作、性能評価を中心に研究を行っていく。 また、より多くのテストを構成する手法に関しては、アルゴリズムを並列化などでさらに高速化し、国際論文誌への投稿も予定している。
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Causes of Carryover |
当初の計画では一年目に本手法を用いたアプリケーションの作成を外注する予定であった。そのため、一年目の交付金額は多いものとなっていた。しかし、交付された額からそれは不可能と判断し、自己で実装することとした。一年目の交付金額については、手続きの関係で変更が不可能であったため、多くを旅費として計上しておいたが、当初の予定通りの出張しか行わなかったため、使用しなかった額が出ている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一年目の繰越金については、実装や実装された手法の実験を行うための機器の購入、また新たに行うことが可能となった、より多くのテストを構成するための手法に関する発表や発行に使用する予定である。
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