2015 Fiscal Year Research-status Report
シミュレーションとeラーニングとを用いた新人看護師のための多重課題研修の開発
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15K16261
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
淺田 義和 自治医科大学, 医学部, 講師 (10582588)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シミュレーション / 多重課題 / 教育工学 / eラーニング / インストラクショナルデザイン / デザイン研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請書の内容に基づき、(1)多重課題研修の事前学習に用いるeラーニングの開発および評価(2)シミュレーションの改善 という2点について研究を行った。 (1)多重課題のeラーニングについては成人および小児の多重課題としてそれぞれ複数のシナリオを作成し、学習者が様々な場面を想定して状況判断ができるよう開発を進めた。また、学習成果に関してより詳細な分析ができるよう、Moodleのデータベースから生データを直接ダウンロードし、解析できるような手順について検討し、実践した。 (2)シミュレーションに関しては実施時における指導員人数の関係で、チェックリストを用いた実践については見送ることになった。一方でシミュレーション後の振り返りの方向性を固め、かつeラーニングでの学習との関連性が高められるよう、デブリーフィングのファシリテーション方法を検討し、効果的・効率的な学習が実践できるようにした。 eラーニングおよびシミュレーションとも、実施後に学習者に対するアンケートを行い、内容の満足度や難易度などに関する意見収集を行った。また、2016年度の実践に向けた改善点・修正点を洗い出し、改修作業を進めている。 なお、研究の進捗については、国内外での研究会・学会について口頭での発表を行っており、中間報告としての短報論文についてデータの整理および執筆を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のように、eラーニングについては当初の計画に加え、学習分析の手法の検討に関しても着手することができ、学習者の学習傾向をより詳細に分析することが可能となった。次年度は継続してeラーニングの改善を行っていくが、平成27年度に着手できた学習分析の内容を踏まえ、より学習効果の高い教材を設計開発していくことを検討している。また、国際学会にてeラーニング教材の設計開発について発表し、特にMoodleを利用した学習教材の作成やその運用に関して質疑を通じた意見交換を実施した。国際学会での発表は平成28年度で予定していたが、1つ前倒しで実施することができた。 一方でシミュレーションの実践についてはチェックリストの利用に関して課題が残った。デブリーフィングの改善という別の方策によってシミュレーションの改善を行うことはできたが、当初の予定とは異なる実践による暫定的な対応である。シミュレーションのチェックリストを整備し、学習者の技能を評価することは、eラーニング教材での学習効果を評価する意味でも極めて重要な位置づけで有り、避けて通ることはできない。一方でチェックリストを用いたシミュレーション時の評価に関しては、研究者のみならず現場での指導者の協力を得る必要もあり、運用方法を再度検討する必要がある。 これらの状況を総合的にみて、「おおむね順調に進展している」と進捗状況の判断を行った。これらの状況を総合的にみて、「おおむね順調に進展している」と進捗状況の判断を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
eラーニングの改善については、平成28年度以降の計画として含まれていたフォーラムでの意見交換・振り返りのサポートなどを試験的に運用していくことを検討している。また、現状ではシナリオの中で失敗してしまった場合、何が悪かったかを学習者自身で考えてみるようなフィードバックを表示させているが、シミュレーションのチェックリストと照らし合わせて提示するなどして学習者の理解を促進するような仕組みを検討している。
シミュレーションについては、デブリーフィングの改善は有用であったため今後も引き続き導入していく方針である。一方、人員(指導者側)の不足については2016年度以降にも継続しうる課題であり、チェックリストの運用に対しては容易に実施するための方策を検討する必要がある。具体的には、シミュレーション時にタブレットを指導者に配布し、その場でチェックした内容をデブリーフィングの場で集計表示して利用できるよう応用する仕組みなどを検討している。
前述のように研究の進捗状況に関する発表としては国際学会を含めて年度内に実施することができたため、平成28年度ではこの発表内容を踏まえた中間報告を論文としてまとめる計画である。平成27年度の実践結果および平成28年度に向けた改善計画を整理することは、教育実践研究の論文の一部としても利用することが可能であるため、年度内の投稿、可能であれば採録決定までを実施できるようにしたい。
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Causes of Carryover |
書籍や論文購読用に計上していた予算が当初より減額し、残金が繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の物品購入費(主に書籍)として割り当てる。
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Research Products
(2 results)