2016 Fiscal Year Research-status Report
オンライン経済実験教材の開発と新しい経済学教授法の提案
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15K16268
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
林 良平 鹿児島工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (80633544)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | e-ラーニング / アクティブ・ラーニング / 経済実験 / 教室実験 / 行動経済学 / 教育工学 / 実験社会科学 / 社会科教育法 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済学は実験をすることで理解が格段に深まる。黒板で理論を教えたら、すぐにスマートフォンやコンピュータを開いて実験をはじめ、結果を確かめる。驚きが冷めないうちに、今行った実験データを分析して理論を振り返る。このスピーディーな経済実験を簡単・確実に行うオンライン・システムを構築することが、本研究の1つ目の課題である。 全国各地の学校で実施された経済実験のログは、次々にサーバーに蓄えられていく。この実験ログを行動経済学の統計手法で詳細に分析すると、生徒たちの経済理論に対する誤った理解、つまづきやすいポイント、陥りやすい不合理行動のパターンが明確にみえてくる。この実験ログに基づいて最適な教授法を提案ことが、本研究の2つ目の課題である。 本研究では、経済実験教材を次の手順で準備していく。(1) オンライン経済実験用プラットフォームを開発し、(2) すでに確立している経済実験を60 例程度設計し、(3) 応募者の授業等で試用しながら改良を重ねた上で実用に耐えうる水準まで洗練させ、(4) オンラインで公開し、高校・大学の授業等で使用してもらう。その上で、ソフトウェア利用の教育効果を次の手順で整理・分析・周知していく。(5) 実験による経済学教育の利点・問題点を整理して最適な教授法を発見し(6) 同時に実験ログを統計分析して行動経済学研究に活かし、(7) 研究成果は国際学術誌に投稿し、広く世界にその意義を問う。(8) 最終的な結果を一般向け書籍としてまとめ、出版する。 平成28年度は(1)~(4)、(6)まで完了し、(5)、(7)、(8)が未完了である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、研究手順の(1)~(4)までを平成28年度までに実施する予定であったが、平成29年度実施予定であった(6)も完了しているため、当初の計画以上に進展しているといえる。 また、(7)については第10回行動経済学会記念大会奨励賞を受賞し、論文・発表とともにシステムの有用性も広く学会に周知されたため、意義は十分に理解されているものと考えている。 さらに、(8)についてはオンライン上で教師手引書を公開するなど、整備を進めている。 これらのことから、当初計画は順調に達成できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降は、国際学術誌への投稿、一般向け解説書(もしくはオンライン資料)を整備していき、(1)~(8)の手順をすべて完了したい。 また、(5)については、すでに多くの経済学者が大学の授業等で活用し、コメントが寄せられている。これらのコメントを集約し、教授法を共同で洗練させることができるような調整機構を考案することで達成したい。
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Causes of Carryover |
当初計画と前倒し支払い請求に従って使用した結果、最低請求額単位の10万円を下回る端数が発生したため、余剰が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度予算と合算して使用する計画である。
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