2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K16280
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
高科 真紀 国文学研究資料館, 学術企画連携部, 機関研究員 (10723207)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 博物館展示学 / 展示照明 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1課題「LED照明の特性評価」について、実際の展示室環境条件においてLEDと博物館・美術館蛍光灯を対象に、①分光分布波形、②演色性、③照度均斉度、④照明点灯時と消灯時の展示ケース内の温度変動の計測を実施した。その結果、①分光分布波形において、ごくわずかだがLEDに紫外線が含まれていること、②博物館・美術館用蛍光灯の方がLEDと比べて演色性が優れていること、③照度均斉度はLEDの方がバラツキが大きいこと、④展示ケース内の温度上昇はLEDの方がはるかに抑えられることが明らかとなった。 第2課題「国内・国外の照明管理調査」では、国内は大阪市立博物館群LED化等事業を実施した大阪市を訪問し、ESCO事業など自治体主導で一括に実施した展示照明のLED化についてヒアリング調査を実施した。国外は平成28年度はイギリスでの調査を予定していたが、公開されている国際標準や、出版物から本研究に必要な情報収集ができたため、特にアーカイブズ展示に近年積極的な姿勢を見せているフランスとイタリアの公文書館、図書館に調査先を変更した。調査においては、紙資料展示における照明管理基準、照明管理の方法についてのヒアリング調査を実施すると同時に、展示照明としてLEDをどのように管理していくべきかの検証の土台となる情報を収集することができた。 第3課題「紙資料の損傷症例研究」では、平成28年度から実施する展示ケース内に設置する試料の選定を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1課題「LED照明の特性評価」について、展示室環境下での蛍光灯とLEDの比較が行えたことにより、本研究の基礎となる成果を挙げることができた。また、第2課題「国内外の照明管理研究」についても、各地でのヒアリング調査によって得られた情報の整理と並行して、平成28年度に訪問を予定している調査先との交渉を順調に進めているところである。以上のような理由から、本研究計画はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も、継続して第2課題「国内外の照明管理研究」を実施するとともに、第3課題「紙資料の損傷症例研究」を開始する予定である。また、第1課題「LED照明の特性評価」についても、国内外の博物館・美術館によって公表されている計測結果も参照しながら、博物館展示での資料保存、色情報の正確な伝達、観覧者の快適性を実現するための照明としてのLEDの評価を行う。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたノートパソコン、温度・湿度データロガーなどの機器類について、所属機関所有のものを使用することが認められたため、今年度の購入を見合わせたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外のLED、照明管理に関するガイドラインや文献を数多く収集することができたので、その翻訳謝金として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)