2016 Fiscal Year Research-status Report
平面インパルス制御を用いた設備投資問題への確率的アプローチ
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15K16290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 允 北海道大学, 経済学研究科, 准教授 (30434286)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リアルオプション / インパルス制御 / 競争投資 / 環境投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 観測変数と制御変数からなる平面上のインパルス制御問題の解法について、最適解の十分性について再検討した。 2. 競争投資の応用問題として、レジームスイッチ下の投資競争問題を初めて分析した。レジームスイッチの導入によって、収益性の劣る企業が先行する可能性があることを示した。また、リスクプレミアムについても分析し、競争下かつレジームスイッチ下のリスクプレミアムのダイナミクスを初めて明らかにした。さらに、リスクプレミアムに関する実証研究の結果を他の理論研究よりも正確な方法で裏付けることができた。この成果は、Journal of Banking and Fincanceに採択された。 3. 環境投資への応用問題として、再生可能エネルギー利用割合基準(RPS)の政策問題を分析した。非再生エネルギー事業者が存在する市場への再生エネルギー事業者の参入問題として定式化し、最適な投資タイミングとRPS割合を求めた。RPSを最適化しない場合は、RPS割合が増加すると投資機会が増加することを示した。さらに、RPSを最適化しない場合は不確実性が投資機会を減少させるが、RPSを最適化する場合は不確実性が投資機会を増加させることを示した。この成果は、INFORMS Annual Meeting 2016にて発表した。 4. 確率論的厳密性の維持のため、カリフォルニア大学バークレー校にてXin Guo教授と意見交換し、研究交流を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にあるように、当初予定していた研究テーマ(平面インパルス制御問題における最適解の保証)で進捗が得られた。さらに、2つの応用問題(競争投資・環境投資)で結果が得られた。また、カリフォルニア大学バークレー校のXin Guo教授との研究交流を継続することもできた。よって、研究は予定通り順調に進行していると結論づけた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度と同様に、平面インパルス制御問題における最適解の保証を進めるとともに、平面インパルス制御による設備投資問題の定式化に着手する。さらに、環境投資への応用問題で得られた分析結果の拡張を試みる。また、カリフォルニア大学バークレー校のXin Guo教授との意見交換によって、確率論的厳密性について示唆を得る。
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