2015 Fiscal Year Research-status Report
容易に低コスト生産を実現できる生産制御システムの開発
Project/Area Number |
15K16296
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
翁 ウェイ 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (80631522)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分散型制御手法 / ジャストインタイム生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャストインタイム生産は納期の直前の製品完成を目指し、製品の在庫の最小化することで、生産コストを抑え、低コスト生産の代表である。しかし、ジャストインタイム生産の導入は多くの製造企業にとって難しい。それは、多くの製造企業はフローショップやジョブショップなどの一般的な生産システムを利用しており、それらのシステムの構造はジャストインタイム・システムの構造とは異なり、ジャストインタイム生産への変更はシステムの構造を変更しなければならないためである。本研究は、一般的な生産システムも構造を変更せずジャストインタイム生産を実現できることを目指し、それを実現するための生産制御手法を開発する。本年度では、分散型生産制御手法を提案し、生産システムをワークステーションの単位に分け、各ステーションに一つのエージェントを設置した。また、一般化したフローショップの生産プロセスモデルを立て、それに基づいたエージェント間のコミュニケーション・ルールを開発した。それによって、フローショップのプロセスにおいて、新しく到着したジョブや生産中のジョブの完成時刻をリアルタイムに予測することができた。シミュレーションによって、提案手法の有効性を検証した。また、フローショップ・プロセスにおける従来の納期の設定方法を見直し、幾つかの不合理的なところを修正した。一つのワークステーションに複数の機械があるフレキシブル・フローショップのような平行システムにも適応する納期の設定方法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、様々な生産システムに利用できる分散型生産制御手法を提案した。その手法は、生産システムをワークステーションを単位に分け、各単位にある制御点が動的にローカルな処理待ち行列情報を収集し、収集した情報を利用してシステム中のジョブの残り処理時間を予測する。その予測値によって、最も納期の直前に完成できそうな機械へジョブを手配する。フレキシブル・フローショップとジョブショップにて提案手法の有効性を検証したところ、納期が合理的な範囲内にある場合のジャストインタイム率が従来の手法より高かったが、納期が極めて厳しい場合のジャストインタイム率はあまり高くなかった。そこで、納期の設定し方を見直した。従来の納期の設定し方はシステム中の処理待ち行列が並行であるのか連続であるのかを考慮しなかったため、極端な納期を決める可能性がある。もし提案手法の動的に収集した各ワークステーションのローカル情報を利用すれば、より精確的に納期を見積もることができるかと考え、提案手法が納期見積もりへの応用を実験し、有効性を確認した。当初予定していた検証を実施したうえ、提案手法の適用可能な応用範囲を拡張した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,提案した分散型制御手法と納期見積もり手法はフレキシブル・ジョブショップにて有効性を検証し、さらに、原料の投入から半製品までの生産はプッシュ型、半製品から製品までの生産はプル型であるハイブリッド生産システムへ応用する予定である。提案手法の収集した各ワークステーションのローカル情報はフレキシブル・ジョブショップでの利用方法を設計する。また、ハイブリッドシステムに応用するためのプッシュ型とプル型の分岐点を決定する方法を提案する。半製品の利用率の最大化と製品のジャストインタイム率の最大化のバランスを取り、システムの最適化を求める。
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Causes of Carryover |
本研究の評価のため、フレキシブル・ジョブショップ、特にハイブリッドシステムを利用している工場の実際のプロセスの調査や工場との研究打ち合わせが必要である。また、関連研究を行っている大学との協力研究や打ち合わせも役立てる。情報収集や研究成果の発表のため,国際会議へ参加する必要もある。 実験やデータ整理などには協力者が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・旅費等:工場訪問、研究出張、学会出張 ・謝金等:研究協力者の人件費など
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