2015 Fiscal Year Research-status Report
PT調査データに基づく新型インフルエンザ時空間伝染リスク評価モデルの構築
Project/Area Number |
15K16300
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉田 護 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (60539550)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リスクマネジメント / 新型インフルエンザ / 重要インフラ / 時空間シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,パーソントリップ調査データを活用し,新型インフルエンザを対象とした都市内伝染リスク評価モデルを開発する.なお,人々が近接する空間としては,家庭,学校,事務所,商業施設,工場に焦点をあて,それぞれの施設内の感染モデルを統合する形で都市内の時空間伝染モデルを構築する.また,感染症リスクの軽減策として,学校閉鎖と職場閉鎖に焦点をあて,そのリスク軽減効果について定量的に把握することを目的とする. 今年度は,家庭及び学校施設に着目した新型インフルエンザの時空間リスク評価モデルの開発を行った.具体的には,熊本都市圏で実施したパーソントリップ調査を用いて,(1)時点別・家庭別の人口粗密データの作成,(2)時点別・学校施設別の人口粗密データの作成,を行った.また,(3)基本再生産数を用いた感染パラメータのキャリブレーション方法を提案し,作成した種々のデータに基づいて感染パラメータが導出可能であることを確認した.さらに,この導出したパラメータを用いて,新型インフルエンザの時空間伝染過程のシミュレーションを実施し,その感染過程を再現可能であることを確認した.さらに,4.時空間リスク評価指標の提案を開発した.具体的には,1)感染者数の分布,2)終息時間の分布,3)被感染ゾーンの空間分布, 4)居住ゾーンの空間分布,の四つの評価指標を定式化し,シミュレーションの結果からこの四つの評価指標によって都市内における感染症リスクの潜在的な脅威を表現可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,家庭及び学校施設に着目した新型インフルエンザの時空間リスク評価モデル,を開発し,1)時点別・家庭別の人口粗密データの作成,2.時点別・学校施設別の人口粗密データの作成,3.感染パラメータのキャリブレーション,4.時空間リスク評価指標の提案,および学校閉鎖措置の定量的リスク評価,の手順で進める計画であった.その手順の中で,1,2,3は今年度無事終えることが出来たが,手順4については,リスク評価指標の提案は行えたが,学校閉鎖措置の定量的リスク評価についてシミュレーション分析を終えることが出来なかった.リスク評価指標を計算するプログラムは既に開発しており,残りは数値計算を複数回繰り返すのみの状況である.そのため、若干の遅れはあるものの,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,施設滞在に着目した新型インフルエンザの時空間リスク評価モデルの開発を行う.具体的には,(1)時点別・PT調査ゾーン別の商業施設,工場,事務所の人口粗密データの作成,(2)感染パラメータのキャリブレーション,(3)商業施設,工場,事務所の閉鎖措置の定量的リスク評価,を行う.なお,平成27年度に実施予定であった学校閉鎖措置の定量的リスク評価について,商業施設,工場,事務所のデータを考慮したパラメータの導出を行い,そのパラメータに基づいて学校閉鎖措置の定量的リスク評価もあわせて実施する.
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