2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a real-time earthquake early warning system for large rupture dimension
Project/Area Number |
15K16307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 真澄 京都大学, 防災研究所, 助教 (60456829)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 緊急地震速報 / 強震動 / 地震活動 / 熊本地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年熊本地震直後の連続地震記録を利用して、同時多発地震の適切に分離するアルゴリズム(IPF法)の精度検証を行った。現行のシステムでは4つの余震で誤報(過大評価された緊急地震速報)が発表されたが、IPF法によってすべて回避することができた。また本震の予測では、予測精度はそれほど変化がなかったが、ネットワークの統合処理により2-3秒早く速報を提供できることが分かった。IPF法の導入により、熊本地震の本震・余震ともに緊急地震速報のパフォーマンスが向上することが示された。
P波検知を正確に行う新しいアルゴリズム(kurtosis法)の精度検証と実用化への改良を行った。精度検証には2011年3月11日~2011年4月16日までの期間に震度5強以上を記録した17の地震の5分間の切り出し連続記録を用いた。kurtosis法はSTA/LTAよりも平均0.12秒早くP波を検知できることが分かった。しかしながら、波形の変化に敏感なのでノイズによって誤トリガしてしまうことがあり、ノイズを識別するフィルターを導入することが実用化への鍵となることが分かった。
課題採択後に発生した2016年熊本地震の被災地(益城町)でフィールド調査を行い、地盤増幅度と建物被害の関係を調べた。緊急地震速報の地震動推定の際にも、地盤増幅は大きく影響するため、正確な地盤増幅の評価が不可欠である。調査結果から、益城町中心部では、被害の大きい地域は堆積層が薄く、秋津川に近い南側は堆積層が厚いことが分かった。このことは、堆積層が厚い地域は一般的に被害が大きいという従来の知見とは相反する結果となった。緊急地震速報で地震動を予測する際に、地盤が大きく非線形化する場合には、従来の線形な予測方法では十分に精度が得られない可能性があることを示している。
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