2015 Fiscal Year Research-status Report
津波襲来時の船舶避難対策のための海上交通分析の研究
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15K16308
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
福田 厳 東海大学, 海洋学部, 講師 (10734478)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 津波対策 / 衝突リスクモデル / 船舶自動観測システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究計画に基づき(1)衝突リスクモデルの衝突確率係数の決定および出力方法の改善、(2)港湾関係者ならびに漁業関係者へのヒヤリング調査、(3)レーダ設置およびレーダ画像多重合成による船舶自動観測システムの構築の研究を行った。 (1)においてはAISデータを用い、衝突リスク計算モデルにて分析を行った結果について本学所属航海士から意見をもらい、衝突確率係数の値を決定した。また、ヒヤリング調査によりAIS非搭載船舶が輻輳するエリアのメッシュが沿岸域にあることが明らかとなった。これに加えて、新しいOZTを用いた新しい海上交通の評価方法を考案した。この研究成果は国際学会であるAsia Navigation Conference 2015およびNavigation World Congress (IAIN)にて論文発表を行った。 (2)においては本学所属船舶の航海士から航海士が津波対策として必要とする情報などを調査したのち、駿河湾内に面した静岡漁連所属の11漁協に対しヒヤリング調査を行い、船舶の全長および幅、操業時期、操業期間、操業時間、時間ごとの平均停泊隻数、平均操業隻数、出港にかかる時間、津波対策の有無、危険だと言われているエリアなどについて明らかにした。各漁協へのデータの正誤確認も終了し、今後、学会等で発表していく予定である。 (3)においては申請者の資格を用いて新しく実験局の免状を取得したのちレーダを設置した。これと並行してAIS情報受信装置の設置も行った。申請時はカメラによるインターバル撮影によりレーダ画像処理を計画していたが、予算の関係上実施が困難となったため、レーダ画像キャプチャ装置による新しい方法に変更し研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示した(1)に関しては学会発表を行った。 研究実績の概要で示した(2)に関しては各漁協へのデータの正誤確認が終わり学会発表の準備を進めている。 研究実績の概要で示した(3)においては、総務省からの実験局の取得(H27.11.30)に時間を要したこと、予算の都合により当初の計画から変更してシステムを構築していること、および責任者が大学の研修航海の役員に選出されたことで2月末から3月末まで日本から離れたことなどにより計画から1ヶ月程度の遅れが生じている。しかし、5月からレーダ観測および画像保存が開始されていること、および画像処理により陸上や固定物標などを除去したあと、一定時間での画像多重合成を行い航跡の抽出し、航跡情報から時間、緯度・経度、船速および針路を自動計算するシステムの検証に入れていることなどから計画へ大きな変更があるとは考えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で示した(2)に関しては、学会での発表を行う予定である。 研究実績の概要で示した(3)に関しては、レーダ観測を5月より開始した。航跡などを抽出するプログラムに関しては検証の段階にある。システム以外での課題はレーダのレンジをどの程度に設定するかにある。研究実績の概要で示した(1)により、駿河湾内でAIS搭載船舶で最も危険と考えられる場所は清水港入り口付近であるため、ここは必ず観測できる状態にする必要がある。また、研究実績の概要(2)により、AIS非搭載船舶の大きさや駿河湾内で大まかな航行エリアが明らかとなっており、この結果を踏まえてレーダレンジを調整していく必要がある。 平成27年度以降の計画で示した「(4)海上交通分析①」に関してはデータおよび計算プログラムの準備ができているため計画通りに進められると考える。「(5)レーダによる自動観測」については(1)2016年5月からの観測を開始した。「(6)海上交通分析②」に関しては、計画通り7月もしくは8月から分析を開始できると考えている。
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