2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16315
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Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
岸 拓真 広島商船高等専門学校, 商船学科, 助教 (70748938)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 港湾施設 / 復興 / 津波 / 海洋空間利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害時に孤立した沿岸地域や離島の人命救助や物資輸送を確保するために、ゴムや合成繊維を材質とした直方体のインフレートマットを空気で膨らませて設置する緊急災害用空気膨張式浮桟橋の開発研究である。平成27年度、28年度とその基本的構造についての検討、適切な係留施設に関する検討を水理実験ならびに粒子法を用いた数値シミュレーションにより実施してきた。特にインフレートマットの材質の薄さを考慮し、極限状態や物体の衝撃(突風、高波、船舶等からの衝撃力等)においてその影響性について検討できるような環境の構築を行った。スラミング等の高負荷荷重のかかる状況における検討は本研究において重要な検討内容である。また、接岸等においての運用等も通常の接岸方法の場合での安全性の検討を行うための基礎的な検討を行ってきた。現状、港湾予備施設としての利用を考えた場合において、その輸送力等を鑑みた場合直方体における検討が最も有効であると考えられる。T字型、円筒形などの検討も実施、安全性・輸送力の点で課題が大きい。係留システムにおいては、弛緩アンカーチェーン係留とドルフィン係留による検討を水理実験にて実施した。特にスラミング等の高負荷影響時においてアンカーチェーン係留の際、局所的な力が発生するため、適切でないと考えられる。本手法においては、ドルフィン係留が有効的であり、現在、組み立て式のドルフィン係留施設の検討を行っている。インフレートマットの内部の詳細な構造・防舷材等について今後十分な検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度までに、ここまでの知見をもとに、最適な形状、構造、係留システムによる安全性と使用性の検討、「緊急用空気膨張式浮桟橋」の総合評価を行う予定であった。水理実験、MPS法による数値シミュレーションを利用し、使用の対象となる海域において最適な形状、構造、係留システムを選択しその評価を行い、その際に「港湾の施設の技術上の基準」に関連する法令に準じる、その使用上の不都合が生じず使用できる性能(使用性)、使用する人命の安全を確保する性能(安全性)を満たしていることを明らかにし、災害時における運用の実現性、優位性を現状の浮桟橋との比較において評価すべきであったが、本施設の高波・風による漂流等の検討の重要性が研究についてより明らかになったため、本検討を継続し、安全性の向上を目的としての検討を行っていく。最適な形状の選択等においてはその一部について検討を実施できた。今後、法令に準じた基準における検討を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の検討の結果、本施設の重要性・開発創出の意義は大きく見出せると考えられ、本浮体構造物の研究開発は復興の一助となるツールであり、実現可能性があることも少しずつではあるが、明らかにできることがわかってきた。今後、実用化に向けた、本研究で培われてきた検討、数値シミュレーションの改善や水理実験の検討を生かした総合的検討を実施していく必要性がある。そのために、より実際の状況に近い状態において、想定される係留手法により係留された膨張式浮桟橋の安全性検討に関する検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
平成29年度、業務多忙につき、予定されていた国際学会への口頭発表ができず、また研究に関し再度検討が必要な事項が明らかになり、その実験等の消耗品、実験解析の謝金、国際学会への参加に関する費用を次年度に持ち越し、使用する。
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