2015 Fiscal Year Research-status Report
希土類添加ナノ蛍光体の電子線励起発光を利用した液中ナノバイオイメージング
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15K16323
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古川 太一 大阪大学, ナノサイエンスデザイン教育研究センター, 特任助教(常勤) (70749043)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオイメージング / カソードルミネッセンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、液中における複数蛋白種の局在を電子顕微鏡の空間分解能かつマルチカラーで可視化するカソードルミネッセンス(CL)ナノバイオイメージング法の確立を目的とする。この方法は、電子線を用いて蛍光体を励起し、その発光を分光してマッピングする。電子線は光に比べ、容易にナノスケールに収束可能なため、ナノスケールの空間分解能を達成することが可能である。また、電子線励起による発光は物質により異なるため、カラーイメージングを実現可能である。今年度は、上記目的を達成するために以下の研究を行った。 CLナノバイオイメージングのための高効率なCL検出システムを構築するために、CLの取得立体角を大きくした放物面ミラーの設計と作製を行った。CLの取得立体角を大きくするために、ミラーが試料の上下を覆うように設計を行った。放物面鏡で取得されたCLを効率よく検出器まで伝送するために、石英窓を通してCLを電子顕微鏡の外に取り出す設計にした。ダイクロイックミラーとバンドパスフィルターを用いて分光を行い、フォトンカウンティングタイプの光電子増倍管で光検出する方式を採用した。 生体試料を液中で観察するためのチャンバーの設計を検討した。2枚の窒化シリコン薄膜を重ね合わせることで、液中CL観察が可能であることを確認した。窒化シリコン薄膜の膜厚と電子線の加速電圧がCLイメージングの分解能に及ぼす影響をモンテカルロシミュレーションによって確認した。 均一沈殿法を用いて、最小30 nm程度の希土類添加ナノ蛍光体の作製法を確立した。また、その蛍光体からのCLを確認した。希土類元素の添加濃度を最適化することで、さらなる輝度向上の可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高効率なカソードルミネッセンス(CL)検出システムのための放物面ミラーの設計と作製を完了し、蛍光体の開発に関しては、均一沈殿法を用いて最小30 nm程度の希土類添加ナノ蛍光体の作製法を確立したため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した放物面ミラーを用いて、希土類添加ナノ蛍光体のカソードルミネッセンス(CL)イメージングを行い、従来用いていたCLの取得立体角が小さいシステムとの比較を行う。また、希土類添加ナノ蛍光体を取り込ませた液中細胞のマルチカラーCLイメージングを行う(均一沈殿法で作製した粒径50 nm以下のY2O3:Eu, Y2O3:Tb, Y2O3:Tmを利用)。平行して、ナノ蛍光体への希土類添加濃度の最適化を行うことで、高輝度なナノ蛍光体を作製し、CL画像のS/N比改善と取得時間短縮を試みる。
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Research Products
(6 results)