2016 Fiscal Year Research-status Report
繊維素材の配向制御により異方性をもたせた低周波用電磁ファントムの開発
Project/Area Number |
15K16327
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山本 隆彦 東京理科大学, 理工学部電気電子情報工学科, 講師 (50579761)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 模擬生体 / 誘電率 / 導電率 / 炭素繊維 / 配向制御 / 異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
すべての医療電子機器は電磁両立性(EMC)を満足することが義務づけられている。これは,医療機器に限らず多くの電子機器において必要不可欠な性能試験の一つである。体内埋め込み型や密着型の電子機器においては,生体の存在を考慮し,機器が実際に使用される状態に近い条件下でEMCをはじめとする各種試験を実施することが望ましいと考えられる。このため,本研究では,生体の存在を考慮し実際に使用される状態に近い条件下において安全試験を行うことができるよう,人体の電気的特性を模擬した電磁ファントムの研究開発を行っている。 従来の電磁ファントムはEMC試験などの対象周波数帯域と比較して高い周波数帯域での電気的特性模擬が主たる目的である,低周波数帯域にいては十分に模擬できていない。特に,同周波数帯域においては,生体と比較して誘電率が低く,材料調整のみではこれを満足することができなかった。そこで,我々はカーボン繊維を添加し,高含水ゲルファントムの実効的な誘電率を大幅に増加させることに成功した。 これまでのファントムの電気的特性は等方性を有するとみなされて研究開発がなされてきた。しかしながら,筋肉などは異方性を有すると考えられるため,ファントムのさらなる高性能化の一つとして,異方性を付加させることが期待されている。これにより,これまで以上に生体に近いファントムを実現することができると期待できる。従来よりも実使用に近い状態での医療機器のEMC評価を行えることから,医療機器の開発段階において,より実際の使用に近い状態でデータ収集を行うことができ,実用化後の予期せぬEMCに関する自己の減少をも期待することができ,国民生活をより安全にできる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,炭素繊維を用いた電磁ファントムの特性の基礎的評価,配向制御の方法とその電気的特性の検討について予定をしていた。基礎的検討としてフィルムアプリケータを用いた炭素繊維の配向制御の手法確立と,生体組織の電気的特性測定,特に異方性に関する設計指標を得ることに成功した。 また,電気的特性測定においては電極およびファントムの界面における分極の影響から,測定手法の再検討も必要であることがわかった。このため,分極の影響を低減可能な測定手法の検討についても同時に行なっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの検討により得られた知見をもとに,電気的特性の測定精度の向上,ファントムのさらなる検討を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
予算はほぼ執行されている。測定法に関する検討において必要な消耗品費がわずかに不足したため,平成29年度へ課題を持ち越すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
計測法の検討を当初の研究計画に加えて行う予定であり,これに対し予算執行する予定である。
|
Research Products
(2 results)