2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16328
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
相内 章 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (10572133)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗体 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体は液性免疫を担うタンパク質であり、異物に対して特異的に誘導される。近年、抗体を治療に用いる抗体医薬が注目されているが、その多くは癌や自己免疫疾患を標的としており、感染症を対象とする抗体医薬の開発は遅れている。抗体医薬に用いられる抗体は、完全ヒト抗体が望ましい。抗体医薬に用いられる抗体は、すでに樹立された抗原特異的なマウス抗体のヒト化、ヒト抗体Fab断片発現ファージディスプレイライブラリーから選択した抗原特異的Fab断片のヒトIgG1抗体定常領域への結合、ヒト抗体発現トランスジェニックマウスの利用により作製されている。近年、ヒト末梢血から単離した抗原特異的抗体を産生する単一B細胞からシングルセルPCRにより抗体遺伝子をクローニングする技術も確立されている。 ヒト末梢血に存在する単一B細胞から抗体遺伝子をクローニングする際には、シングルセルPCRの精度が課題として残されている。一過性に細胞を増殖させた上で抗体遺伝子をクローニングすることで、この問題は大きく改善できると考えた。また抗原に対する特異的抗体を発現するB細胞の選択方法を改善することができれば、抗原特異的抗体遺伝子のクローニングがより容易になると思われる。 当該年度は、一過性にヒトB細胞を増殖させるための増殖因子の検討、ならびにそれらの組み合わせに関して検討を行った。この結果、ODN2006をメインに他4種類の増殖因子を加えることで、B細胞を効率良く増殖させることが可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、ヒトB細胞の一過性増殖に必要な因子の検討を終えた上で、抗原に対する特異的抗体を発現するB細胞の選択方法の改善に着手する予定であった。しかしながら、一過性増殖に必要な因子の組み合わせを決定できたものの、抗原に対する特異的抗体を発現するB細胞の選択方法の検討に着手することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該年度に決定したヒトB細胞の一過性増殖条件下において、抗原特異的抗体を発現する単一B細胞の選択法に関しての検討を行う。インフルエンザウイルスを標的抗原とした単一B細胞選択法を検討する予定であるが、標的抗原に関しては臨機応変に変更する可能性がある。さらに、選択したヒトB細胞から抗体遺伝子クローニングし組換えヒトモノクローナル抗体を作製した上で、樹立した抗体の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため、 当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。 平成28年度分についてはほぼ使用済みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり。
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