2016 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of multifunctional protein film for the treatment of inflammatory diseases
Project/Area Number |
15K16334
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山添 泰宗 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (00402793)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルブミン / 炎症性疾患 / 活性酸素 / 抗体 / SOD / フィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アルブミンを主成分としたフィルムにSuperoxide dismutase (SOD)と抗体を組み込むことで活性酸素除去能と細胞認識能を備えたタンパク質フィルムを開発することを目的としている。本年度は、昨年度作製した3種類のタンパク質(アルブミン、抗体、SOD)で構成される微小なタンパク質フィルム(直径:約 100μm、厚み: 数百nm)が有する機能を評価した。本フィルムは、炎症性疾患治療への応用を考え、活性酸素を分泌する細胞をフィルム表面に組み込んだ抗体の働きによって捕捉し、補足された細胞から分泌された活性酸素をフィルム内に存在するSODが速やかに除去することを想定して設計している。これらのフィルムの機能を評価するために、HL60細胞を分化させることで活性酸素を分泌する好中球様細胞を調製し実験に用いた。好中球様細胞と微小フィルムを混合し、顕微鏡で観察したところ、フィルムが良好に細胞を捕捉することが分かった。細胞はフィルム全面に付着しており、直径100μmの微小フィルムに約22個の細胞が捕捉されていた。フィルムに捕捉された細胞の活性酸素の分泌挙動を調べた結果、フィルムに捕捉されていないフリーの状態の細胞に比べて、周囲に分泌される活性酸素の量が70%減少することが分かった。これはフィルム内部のSODが有効に働き、分泌された活性酸素の大部分を除去したためだと考えられる。さらに、アルブミンがその分子内に様々な薬剤を担持できる特性を持つことを利用して、抗炎症薬(ジアポシニン)を担持した微小フィルムを作製し、フィルムから薬剤を徐放させることで、フィルムの周囲に存在する好中球様細胞の活性酸素の生成を抑制できることを実証した。以上のように、本フィルムは、多くの病気に関与していることが知られている過度の活性酸素を取り除く効果があり、炎症性疾患の治療に有用であると考えている。
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Research Products
(4 results)