2016 Fiscal Year Research-status Report
ユーグレナ運動による全弾性体型マイクロマシンの開発
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15K16337
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
中林 正隆 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50638799)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオミメティクス / バイオメカニクス / 推進機構 / 医用工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下に研究実績について述べる。 1.流体内推進機の制御系及び計測系の開発 (平成27・28年度計画):前年度報告書で提案したカムリンク機構とテフロンチューブ・ワイヤを用いて外部から流体内推進機を駆動させる機構を製作、更にリニアスライドガイドを取付け、ひずみゲージによる推進力の計測系を開発した。またシステムの不具合を改善、制御系に用いるプログラムを作成し、動作確認も完了した。 2.流体内推進機の推進特性の検討(平成28年度後期・29年度前期計画)、 S字屈曲運動による推進特性の検討(平成29年度計画):上記の課題が全て完了したことで、水中での流体内推進機の駆動実験が可能となった。屈曲運動を行うための収縮パターンの条件において各弾性収縮機構の収縮率を検討したが、推進力を得るための充分な変形量が得られるのは40%からであった。この条件を用いて運動周波数を0.25Hz~1Hzとして推進力の計測を行った。しかし、テフロンチューブとワイヤが機械的な振動によって推進機に外力を与えてしまうために、発生する流体力と断定できる力の計測には至らなかった。流体力の拡大のために弾性薄膜の面積増大とフィンの取付けも行ったが、改善は見られなかった。この際にS字屈曲運動についても検討した。推進機の変形運動は指定の通り動作することを確認できたが、推進力と断定できる力の計測は困難であった。 3.流体内推進機の設計の見直し及び新実験機の開発 (問題の解決手段と対応):前述の通り、本実験機は当初の設計構想を用いた方法では、機械的外力の影響が大きく生じ、正確な推進力を得るのは困難であることが分かった。この事から外力の影響を受けない運動機構の設計が必要であると結論づけた。そこで運動機構の小型化、より自航状態に近い構成をもつ実験機の設計開発を行っている。現段階では部品が納品され、細かな部品製作と共に組立の段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度問題となっていたPC・インターフェースの問題は解決し、システムの煩雑さを低減するために提案した運動機構も実現させた。また制御系及び計測系を完成させ、弾性収縮機構の収縮パターンは、静的実験で得られた結果を基に動的に動かした場合でも適用可能であることが分かった。これらの事から着々とデータを重ねることで、流体内推進機の運動機構が実現されたのは研究計画通りに進行できていると言える。 しかしながら、テフロンチューブと複合メタルワイヤの機械的な振動が想定よりも大きく、これによって推進力の計測に影響を与えるという問題が発覚した。これは現状の駆動機構のマイナーチェンジで解決は困難であり、実験機の再設計が必要になった。既に再設計及び新実験機の製作には入っており、至急完成を急ぎ基礎データの収集が必要だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述にもあるが新たに機械的な外力による影響が流体内推進機の推進力の計測に問題を与えていることがわかり、その対策が必要である。これまで実験機の駆動系は外部に配置してワイヤ駆動で流体内推進機を動作させていたが、対策としての再設計では、この駆動系を全て小型化し、流体内推進機に付属したものとして構成する。これにより、ワイヤ駆動で発生するチューブやワイヤの振動の問題を根本的に存在しないようにした。更に発生する流体力を増大させるため、流体内推進機自体の大きさも拡大させた。詳細な機構部分の設計も完了し、部品も納品されているため、細かな部品の製作とともに組立の段階である。至急完成させ、推進力測定・基礎データの獲得に移りたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 新実験機の製作にあたり、更なる問題が生じる可能性が否めないため、対策用の予備費用を想定したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験機のマイナーチェンジまたは計測系の改良に使用する。
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Research Products
(2 results)