2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16342
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
堀内 哲也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 無機機能材料研究部門, 研究員 (60738061)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イオン導電性高分子 / カテーテル / 断面二次モーメント / トラック形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン導電性高分子アクチュエータの筆頭論文を2報発表し、更にもう1報筆頭論文を投稿(2017/5現在、revise中)した。特に最新の論文は、カテーテル形状のアクチュエータの変位特性を劇的に向上させるものである。カテーテルはチューブ形状を有しているため、断面二次モーメントが高く、アクチュエータとして動作させるには不利な構造である。そこで我々はカテーテルを更に変形させてトラック形状(円を一方向に潰した形状)にすることで、断面二次モーメントを低下させ、それによってカテーテルアクチュエータの変位特性の向上に成功した。例えば直径1mm、厚さ0.1mmのカテーテルの場合、真円時の断面二次モーメントに比べ、トラック形状アクチュエータは理論値で約160倍の屈曲率を獲得できる。更に我々は実際に試作し、真円時の6倍の屈曲率をもつアクチュエータの作成に成功した。なお、イオン導電性アクチュエータはソフトアクチュエータに該当するため、例え真円パイプ形状から離れた断面形状を有していたとしても、内部金属製の真円ガイドワイヤを通すことは可能である。本成果をSensors and Actuatorsに現在投稿中、更に特許も申請中である。しかし一方で、断面二次モーメント低下による手術のしにくさが発生しないか、と査読者から指摘を受けている。特に血管内のような脈動流速環境下ではアクチュエータの位置保持が特に難しくなる可能性もある。ここは今年度の研究計画で実験・検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要の記載の通り、カテーテル変位特性に関する研究で大きな成果を挙げたものの、当初の計画ではユーザインターフェース部分の試作がこの年における主業務のはずであり、それは終わっていない。しかし論文投稿数は計画より2本も多く、必ずしも不調とはいえない年であった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は所属組織の都合上、計画を曲げても論文投稿数を増やさなくては成らなかったため、インターウェースの試作を延期したが、今年は6月までに試作を終える。既に部品は発注済である。更に、前年度の論文で、断面二次モーメント低下による性能向上は達成したものの、これが流速内で欠点にならないかという点が査読者からも指摘されている。この流速実験で論文投稿を行うことが本年度のゴールと考えている。これにより血管内での性能評価がより客観的になると確信している。
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Causes of Carryover |
国際学会への出張が偶然、韓国という近場で行われたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年7月にまた国際学会での発表を予定している
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