2015 Fiscal Year Research-status Report
義足のアライメント設定に影響を及ぼす因子と評価項目の分析
Project/Area Number |
15K16344
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
須田 裕紀 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (20567200)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 義足 / アライメント / 主観 / 足底 / 荷重位置 |
Outline of Annual Research Achievements |
切断者が装着する義足は,失われた身体機能を代償するパーツの組合せで構成されている.これらのパーツの位置関係は,立位の姿勢や歩行の安定性に大きな影響を与え,現在では,この位置関係の設定は,リハビリスタッフが切断者ごとに姿勢などを評価して判断している. そこで本研究は,義足のパーツの位置関係における評価パラメータを解明し,適切なアライメントを得るための評価指標を明らかにすることを目的とする.動作分析と足底荷重位置の主観評価の再現性を高めるため,アライメント設定時の動作分析を行い,足部の踵とつま先のマーカー座標値に対する床反力圧力中心の座標値から,アライメントと床反力圧力中心の位置関係を明確にし,足底荷重位置推定票の座標値と動作分析の座標値について,踵とつま先のを基準に2つの座標を統合し整合性を検証する. 被験者ごとに計測用義足を製作し,アライメントは,一般的な臨床術式に従って3名の義肢装具士(臨床歴10年以上)が協議して決定する.適合した状態をNormalとした.計測水準のアライメント変化は内外側方向だけとし,Normalの状態からケットに対して足部を内側へ10㎜偏位したものをInset,外側へ10㎜移動させたものをOutsetとした.計測は静止立位で行い足幅を規定した規定立位と足踏みをした自由立位とした.結果,主観的な足底荷重推定位置と床反力の左右方向成分において,アライメント変化に対応した結果になることが明らかとなった.さらに,立位時の足幅による違いでは,臨床のアライメント調整の状況に近い自由立位においても足底荷重位置推定票がアライメント変化に対応した結果を示した.今後は,アライメント変化に対する主観と動作分析に加えて,足底の接地圧力の分布や,ソケット内に生じる圧力を計測し,総合的にアライメント変化による影響を明らかにしてアライメント評価における指標を検討したいと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に伸展している 現在まで,5名の切断者を対象とした計測を終え,主観的な足底荷重推定位置と床反力の左右方向成分において,アライメント変化に対応した結果になることが明らかとなった.さらに,立位時の足幅を規定した規定立位と足踏みをした自由立位の条件でも計測し,臨床のアライメント調整の状況に近い自由立位においても足底荷重位置推定票がアライメント変化に対応した結果を示した. 自由立位では,足踏み動作中により姿勢の自立調整機能や代償動作などを用いて補正していると考えられる.対して規定立位では,姿勢の不安定さを改善しにくいため,アライメントの設定不良が顕著に現れると考えられる.足底荷重推定位置の認知は,ソケット内部に接触する皮膚面,残存する関節,筋・腱の感覚受容器からの情報を総合して行っているものと考えられる.以上のことから,足底荷重推定位置は,義足のアライメントと規則的な関係にあり,臨床評価に有効なパラメータであると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在までのアライメント変化に対する主観と動作分析に加えて,足底の接地圧力の分布や,ソケット内に生じる圧力を計測し,総合的にアライメント変化による影響を明らかにしてアライメント評価における指標を検討したいと考える.足底圧力分布は,シート型のセンサを用いて義足側と健足側を計測し,荷重位置の範囲と圧力分布を明らかにし,床反力圧力中心と足底荷重位置推定票との関係性を明確にする.ソケット内の圧力は,3軸力覚センサを用いてソケット内の前後・内外側の計測を予定している.
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Causes of Carryover |
H27年度は当施設既存の計測機器を使用したため,計測に必要な最小限の物品の購入に留まった.その他の経費についても既存の材料や他の経費を利用したため支出が最小限となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度は,これまでの計測結果を基に新たな部分の計測を予定している.特に足底圧力およびソケット内圧力を計測するために,計測システムを構築する必要がある.H27年度分予算を合算してセンサやデータ集積装置の構築を予定している.
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