2015 Fiscal Year Research-status Report
末梢動脈疾患患者における歩容変化の機序解明と新たな治療介入への応用
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15K16349
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柿花 隆昭 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (40722004)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 末梢動脈疾患 / 三次元動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢動脈疾患(peripheral arterial disease: PAD)は心血管死亡率が高い予後不良の疾患である。PAD患者は歩行速度が低下し、その低下は予後不良に関与することが近年の研究により明らかになった。しかし、PAD患者の歩行速度低下には筋力低下や下肢痛の関与が考えられており、そのメカニズムについては一定の見解が得られていない。本研究では三次元動作解析装置を用いてPAD患者の歩容を詳細に分析し、筋力や下肢痛がどのように歩容や歩行速度に関与しているかを調べることとしている。 横断的研究としてPAD患者16名28肢、健常高齢者10名20肢において快適歩行速度、最大歩行速度の2条件で解析を行った。それぞれの群において、歩行速度、歩幅、ストライド、下肢各関節のモーメント、パワーを算出した。PAD患者は快適歩行速度、最大歩行速度の両条件において歩行速度、歩幅、ストライドが低下していた。関節モーメントでは最大歩行速度において股関節屈曲モーメントが低下し、関節パワーでは両条件において股関節屈曲パワーが低下していた。歩行立脚後期には股関節屈曲と足関節底屈による2つのストラテジーが存在することが知られており、これらはそれぞれを補完する関係にある。PAD患者は下腿後面に疼痛を訴えるものが多く、今回の研究結果から股関節屈曲筋のトレーニングやこれらの筋を用いた歩容の獲得が下腿後面の負荷を軽減し、歩行距離の延長や間欠性跛行による疼痛軽減につながる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の通り順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も各診療科と綿密に連絡を取り合い、対象者を増やしていく。また、血行再建術前後の縦断的研究についてもデータ収集と解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
健常被験者が当初の予定よりも集まらなかった。次年度の被験者への謝金へとあてる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マーカーやシールなどの消耗品の購入、被験者への謝金、学会発表や論文作成の費用として使用する
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