2017 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of the mechanism of gait change in patients with peripheral arterial disease and application to new therapeutic intervention
Project/Area Number |
15K16349
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柿花 隆昭 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (40722004)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 末梢動脈疾患 / 三次元動作解析 / 血管内治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、下肢への血流制限がPAD患者の歩容へ影響しているかを調べるため、血管内治療前と術後早期に三次元動作解析を用いて歩行を分析し、健常者と比較を行った。Fontaine分類Ⅱ度で腸骨動脈病変をもつPAD患者10名11肢、健常高齢者11名11肢を対象とした。治療前後でABI、歩行距離、三次元動作解析装置を用いて歩行速度、立脚期の股関節、膝関節、足関節モーメントの最大値を計測した。 手術から術後計測までの日数は2.3±1.7日であった。術前に比し、術後のABI、跛行出現距離、最大歩行距離は増加した。術前のPAD群では健常群に比し歩行速度、股関節屈曲モーメント、膝関節伸展モーメントがそれぞれ低値であった。PAD群は術後早期に歩行速度、股関節屈曲モーメント、膝関節伸展モーメントがそれぞれ増加したが、健常群に比し歩行速度と股関節屈曲モーメントの有意な低下が残存した。血管内治療によりPAD患者の歩行速度や関節モーメントは改善するが、血行再建だけでは歩行機能の改善は不十分であり、術後運動療法の必要性が示唆された。本研究はInternational symposium on endovascular therapy 2018において成果発表を行った。 研究機関全体を通じ、健常者とPAD患者の歩容の比較、血行再建術前後での比較を行ってきた。これまでは、間歇性跛行の頻発部位である下腿後面に意図的に負荷をかけ強い痛みを誘発する歩行運動療法が主体とされてきた。しかし、これらの研究結果から下腿後面筋が発生する力は健常者と比し差がなく、むしろ股関節や膝関節が発生する力が低下していることが明らかになった。これまで運動療法のターゲットとされてこなかった筋のトレーニングによりPAD患者の歩行距離や歩行速度が改善する可能性を示唆した。
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