2017 Fiscal Year Research-status Report
呼吸・循環障害を合併した高度肥満症への包括的リハビリテーションの有効性の確立
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15K16350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 珠緒 東北大学, 大学病院, 助手 (20529698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 包括的肥満リハビリ / 呼吸機能 / 体組成 / 冠動脈危険因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、呼吸・循環障害を合併した高度肥満患者への包括的リハビリテーションの有効性を確立することである。 本年度も引き続き高度肥満症例に対し、運動療法・食事療法・栄養指導・日常生活指導による包括的リハビリテーションを行った。食事療法は、一日当たりおよそ標準体重(kg)×25kcal/kgの総カロリー食に制限した。運動療法は、自転車エルゴメーターや水中トレッドミルを週5回施行、体幹・四肢のレジスタンストレーニングも併用した。また、活動量計(万歩計)を装着し一日の歩数や体重を記録することで自己管理習慣の習得を目指した。検査結果をフィードバックしながら、食事・運動療法の教育及び日常生活指導を行った。 本年度は、当院で包括的リハビリを施行した29人の肥満症患者の介入前後の体重及び体組成検査、血液生化学検査、呼吸機能検査結果を解析し、論文を執筆した。包括的リハビリ介入後、平均12 kgの体重減量と共に、糖脂質代謝異常や高尿酸血症などの生化学所見が改善した。呼吸機能検査では、肺容量、特にERV(呼気予備量)やFRC(機能的残気量)の有意な改善を認めた。また、肺容量の変化と体重減量変化との間に有意な相関を認めた。肺容量の改善は、体重減量とそれに伴う肺胸郭のコンプライアンスの改善や、腹部脂肪の減少による横隔膜の可動性の向上などが影響している可能性が考えられた。 心臓リハビリ学会の地方会では、冠動脈危険因子を持つ肥満症患者に対する包括的肥満リハビリの影響について口演した。また、本年度の腎臓リハビリ学会では、肥満症患者に対する包括的リハビリ介入前後の血圧、糖脂質代謝異常、尿酸値、eGFRの変化などについてまとめ、慢性腎臓病の危険因子への効果について口演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、肥満患者に対する包括的肥満リハビリが呼吸機能に与える影響について論文を執筆することができた。また、肥満患者に対する包括的リハビリが冠動脈危険因子や慢性腎臓病危険因子に与える影響についてまとめ学会で口演するなど、研究成果を順調に公表出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は更に症例数を増やし、包括的リハビリが肥満患者の運動耐容能やQOLに与える影響などについても解析する。また、運動種目や運動強度による治療効果の違いや、退院後の変化についても検討していく。本研究を推進するに当たり、他科との連携や啓蒙活動にも務めていく。
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Causes of Carryover |
昨年度は育児休暇中で補助事業を中断していた。本年度は研究を再開したが、昨年度の未使用額もあり、次年度使用額が生じた。次年度は、更なる研究計画の遂行、学会での成果発表や論文執筆などへの使用を計画している。
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Research Products
(4 results)