2019 Fiscal Year Research-status Report
呼吸・循環障害を合併した高度肥満症への包括的リハビリテーションの有効性の確立
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15K16350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 珠緒 東北大学, 大学病院, 助教 (20529698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肥満合併症 / 心肺運動負荷試験 / 重複障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、呼吸・循環障害を合併した高度肥満患者への包括的リハビリテーションの有効性を確立することである。 本年度は、高度肥満患者に重複する合併症や心肺機能に注目し、「肥満患者の合併症と運動能力との関連」について学術集会で口演発表を行った。高度肥満患者では、運動時の息切れや運動器疾患の合併により、活動量が低下しやすい。特に呼吸・循環障害は運動耐容能低下の原因となり、運動療法を進めていくにあたり、モニターでのリスク管理や負荷強度の調整などへの特別な留意が必要となる。今回、心不全、肥満低換気症候群、変形性膝関節症など、活動量低下を来しやすい肥満合併症毎の心肺運動負荷試験の結果を比較した。高度肥満患者では運動耐容能が低下していたが、心不全合併例以外では最高酸素脈は比較的保たれていた。安静時、運動時共に呼吸数が速く、運動時にも浅く速い呼吸パターンがみられ、呼吸困難感が運動制限となっている症例もみられた。高度肥満患者への運動療法を進めていくにあたり、重複する合併症に留意しながら個々への運動プログラムを作成することが重要と考えられた。 また、「肥満・メタボリックシンドロームを合併したCKD患者に対する運動療法」や「心不全・呼吸不全を有する肥満患者へのリハビリテーション」について執筆した。 更に、肥満に関連した呼吸障害に対する体重減量と運動療法の効果についてのレビューを投稿した。体重減量に伴う体脂肪の減少は、肥満に伴う呼吸機能障害や睡眠時無呼吸の改善に重要である。運動療法には、労作時の息切れを改善したり運動耐容能を向上させる効果が報告されており、内科的体重減量と外科的手術療法どちらにおいても、運動療法を含めた包括的な減量プログラムが有効である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、呼吸障害を合併した肥満患者への減量および運動療法の効果をまとめることが出来た。また、呼吸・循環障害を合併した肥満患者へのリハビリテーションについて執筆した。合併症のある肥満患者への運動療法プログラムに向けて、肥満患者の合併症と心肺運動負荷試験の結果(運動耐容能や呼吸・循環応答)の関連を調べることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高度肥満患者に対する包括的リハビリの有効性について、運動療法の種類、強度、頻度、時間の違いによる効果の比較をすすめていく。また、高度肥満患者に対する包括的リハビリ前後での体組成変化と自覚症状や心肺運動負荷試験の結果との関連について調べていく。
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Causes of Carryover |
次年度は、研究結果の解析・発表や論文の投稿に使用していく。
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Research Products
(4 results)