Development of abdominal functional electrical stimulation training for the paralysis of expiratory muscles in the patients with spinal cord injury

2017 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15K16359
• Research Institution: Ibaraki Prefectural University of Health Science
• Principal Investigator: 瀬高 裕佳子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (20404767)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 腹壁電気刺激 / 脊髄損傷 / 呼吸機能 / 咳嗽能力

Outline of Annual Research Achievements

脊髄損傷者における呼吸および咳嗽機能の改善に向けて腹壁電気刺激療法の開発に取り組んだ。平成27～28年度に行った健常者を対象とした腹壁電気刺激療法の結果をもとに、治療プロトコルおよび評価方法を確立させたうえで、平成29年度では臨床応用として脊髄損傷者を対象に腹壁電気刺激療法を導入して、その効果を検証した。
頸髄損傷者2名に対して、1回20分間を週平均3回、対象者の耐えられうる強度にて最大3か月間の腹壁電気刺激療法を実施した。介入前後でスパイロメータによる呼吸機能、咳嗽能力、超音波画像による腹壁筋の筋厚などの生理学的データを収集し、治療効果を評価した。なお、咳嗽能力の評価では、各相の変化を詳細に捉えるため、フローセンサを用いて随意咳嗽の流速波形を記録して各相の指標を特定する方法を用いた。なお、介入期間に関して、2名のうち1名は入院期間の関係から1か月間のみの介入となった。
介入後は、2名ともに共通して努力性肺活量と一秒量の増加が認められた。また、3か月間の介入が可能であった対象者では、さらに呼気筋力の増加が認められた。一方、咳嗽時最大呼気流速を含む咳嗽能力と腹壁筋の筋厚において、2名ともに著しい改善は認められなかった。
今回の結果より、腹壁電気刺激療法は臨床においても簡便かつ安全に行えた一方、特に咳嗽能力の著しい改善は見込めなかった。このことから、治療プロトコルを見直して効率の良い刺激条件を特定する、あるいは電気刺激療法と他のトレーニングを組み合わせて実施することを検討していく必要がある。