2015 Fiscal Year Research-status Report
新規脳卒中リハ治療戦略の構築 ―連合性ペア刺激による大脳半球間抑制の調節―
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15K16360
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
山本 哲 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00735334)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 連合性ペア刺激 / 半球間抑制 / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳卒中運動麻痺を改善する新たなリハビリテーション戦略を開発することを目的とする。介入方法としては、健常者の運動ニューロンに対して経頭蓋磁気刺激と末梢電気刺激の連合性ペア刺激(paired associative stimulation:PAS)を行う。この連合性ペア刺激は、刺激側または刺激対側における運動野の興奮性を変化させるという報告があるが、左右半球間の抑制状態(半球間抑制)を変化させるという報告はみられない。しかし、連合性ペア刺激が半球間抑制を変化させるのであれば、半球間抑制が破綻している脳卒中片麻痺者の運動機能回復に繋がる有効な介入刺激となり得ると考えられる。 平成27年度は、経頭蓋磁気刺激と末梢電気刺激のペア刺激(PAS)の刺激によって、左右大脳半球間に働く相互作用(半球間抑制)の、刺激前後における変化について計測を行った。半球間抑制の評価には経頭蓋磁気刺激を2台用い,刺激間間隔10msとした。健常成人11名に行った結果,経頭蓋磁気刺激反対側半球から刺激側半球への半球間抑制の,有意な減少がみられた。この結果は、この連合性ペア刺激が刺激側に応じた方向の半球間抑制を変化させるメカニズムによって、片麻痺の回復に有用となりうることを示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常成人11名を対象に実験を完了しており,連合性ペア刺激による半球間抑制の定性的な変化を認めている。よって,本研究は概ね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度と同様に連合性ペア刺激を行なう前後の脳活動変化について実験を行なうが、この刺激効果の評価として、ペア刺激前後に経頭蓋磁気刺激により誘発された脳波を用いる。脳波を使うことにより、時間分解能に優れた波形反応の記録が可能であるため、連合性ペア刺激が左右大脳半球に及ぼす影響について、詳細な時間経過を追った詳細なメカニズムの検討が可能となる。
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Causes of Carryover |
平成27年度の一定の研究成果が出るまで想定より時間がかかったため、国際学会にて学会発表をすることができなかったため、旅費支出が大幅に減少したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は共用のA/Dコンバーターを使用していたため、実験セッティングに時間がかかっていた。平成28年度には専用のA/Dコンバーターを購入し、よりスムースに実験が施行できるよう実験環境を整える予定。
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Research Products
(4 results)