2016 Fiscal Year Research-status Report
新規脳卒中リハ治療戦略の構築 ―連合性ペア刺激による大脳半球間抑制の調節―
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15K16360
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
山本 哲 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00735334)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 連合性ペア刺激 / 半球間抑制 / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
連合性ペア刺激(Paired associative stimulation,PAS)は,末梢神経電気刺激に引き続く一次運動野の経頭蓋磁気刺激(Transcranial magnetic stimulation,TMS)を組み合わせた刺激系列である。特に刺激間間隔を25msとするPAS25は,脳卒中運動麻痺の回復を促進する手法として注目されているが,PAS25が刺激反対側の一次運動野に及ぼす影響について着目した研究は少ない。 2016年度はTMSと脳波計(TMS-EEG)を用いて,PAS25付与前後の脳活動の変化について実験を行う予定であったが,計測環境が整わなかったことから予定を変更し,同様に刺激部だけではなく大脳皮質の広範囲の脳活動変化の計測が可能であるresting state functional MRI(rs-fMRI)を用いて,PAS25前後の脳活動変化について計測を行った。 方法は,健常成人17名を対象とし,右正中神経電気刺激に引き続く左M1のTMS(刺激間間隔25 ms)を100回行った(PAS25)。PAS25の前後にrs-fMRIを撮影し,左右M1間の機能的結合性の変化を検討した。結果,PAS25前と比較しPAS25後では,PAS25刺激側半球である左M1から右M1への機能的結合性の有意な変化が認められた。さらに,右M1から左M1への機能的結合性の有意な変化が認められた。これらの結果から,PAS25は刺激側半球のみならず,刺激反対側半球に影響を及ぼすことが示唆された。このことから、PAS25による脳卒中運動麻痺回復のメカニズムとして、左右M1の活動性の変化が関わっていることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画より評価項目の変更があったものの、rs-fMRIを用いて,PAS25前後の脳活動変化について計測を行うことが出来たため、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
rs-fMRIデータの解析方法について再度検討を行う。必要時、追加実験を計画する。本研究で得られた成果は、学会発表および、学術雑誌への投稿により、広く社会に発信していく。学会発表については、日本理学療法士学会および北米神経科学学会にて発表ことを検討している。また、学術論文として、以下の学術雑誌に成果を発信する予定としている(Neurorehabilitation and Neural Repair、Journal of the Japanese Physical Therapy Association等)。
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Causes of Carryover |
研究計画の一部変更により、一定の研究成果が出るまで想定より時間がかかったため、国際学会にて学会発表をすることが出来なかった。これにより旅費支出が大幅に減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は論文の校正および投稿のために支出を増額する予定。
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Research Products
(16 results)