2015 Fiscal Year Research-status Report
アキレス腱障害発生機序の解明-解剖学的・生体力学的解析を用いた研究-
Project/Area Number |
15K16372
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
江玉 睦明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (20632326)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アキレス腱 / 捻れ構造 / シミュレーション / アキレス腱障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究①】日本人遺体60体110側を対象に,アキレス腱(AT)の捻れ構造を腓腹筋内側頭(MG),腓腹筋外側頭(LG),ヒラメ筋(Sol)の付着する腱線維束レベルで検討して,その形態学的特徴を明らかにした.Solが深層全体に配列しているものをTypeⅠ(軽度:50%),LGとSolが深層全体に配列するものをTypeⅡ(中等度:43%),LGが深層全体に配列するものをTypeⅢ(重度:7%)の3Typeに分類できた.更に各線維束を細かく分離していくと,MGは,全てのTypeにおいて比較的平行に走行しているのに対して,LGとSolは,特にTypeⅢにおいては強く捻れながら踵骨隆起に付着していた.更に,Solの捻れの部位はATの踵骨付着部から近位3-5cmの部位であった. 【研究②】研究①で明らかにした3つのタイプ分類を基に,踵骨を回内・回外方向に動かした際にATを構成する各腱線維束に加わる伸張度(%)を捻れのType毎に検討した.3DデジタイザMicroScribe装置を使用して,ATを構成するMGの停止する腱線維束,LGの停止する腱線維束,Solの停止する腱線維束の筋腱移行部の最遠位端と踵骨隆起付着部の2点と,踵骨隆起(4点)をデジタイズして3D構築した.その後,任意に規定した踵骨隆起の回転中心を基準に作成した絶対座標系上で回内(20°)・回外(20°)方向に踵骨を動かした際の各腱の伸張度(%)をシミュレーションして算出した.特に,TypeⅢでは,踵骨の回内時にSolの伸張度が最も大きく(TypeⅠ: Sol:1.7 ± 3.4%, TypeⅡ: Sol:2.4 ± 1.4%, TypeⅢ: Sol:3.7 ± 6.0%),更にSolを構成する各腱線維の伸張度が異なった. 本研究結果より,踵骨回内時にはAT内に加わる伸張度は一様ではなく,特に,TypeⅢではAT障害の発生リスクが高まる可能性が示唆された.本研究結果はAT障害発生メカニズムの解明に繋がり,更には新たな予防法の解明の一助になると考える.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解剖学的な検討が終了し,それを基にした3D構築,シュミレーションにも成功した.
|
Strategy for Future Research Activity |
解剖学的な検討が終了し,それを基にした3D構築,シミュレーションにも成功した.次は距腿関節軸上と距骨下関節軸上でシミュレーションを行いアキレス腱に加わるストレインを明らかにしていく.
|
Causes of Carryover |
やや残高が生じたが,概ね予定通りの使用額であった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も変更なく実施していく.
|
Research Products
(29 results)