2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16373
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Research Institution | Health Science University |
Principal Investigator |
村松 憲 健康科学大学, 健康科学部, 准教授 (00531485)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 錐体路 / 糖尿病性ニューロパチー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は1型糖尿病ラットの脊髄にトレーサーを注入し、逆行性に標識された大脳皮質運動野の錐体路細胞の形態学的解析を行った。実験にはWistar系ラットのオス、48匹を用いた。24匹のラットにはストレプトゾトシン(STZ)を腹腔内投与し、1型糖尿病を発症させ糖尿病群とし、残りの24匹には生理食塩水を腹腔内投与して対照群とした。各群のラットの半数は薬剤投与後10週間、残りの半数は20週間後に実験に使用した。 実験はハロタン吸入麻酔下のラットの脊髄を露出し、第5頸髄(各群 n=6)、もしくは第5腰髄(各群 n=6)にトレーサー(Dextran TexasRed)を2μl注入した。その後、動物を回復させ3週間の生存期間の後に、深麻酔下にて灌流固定を行い、大脳を摘出した。次にビブラトームを用いて大脳の横断切片を作成し、それを蛍光顕微鏡で観察して逆行性に標識された錐体路細胞を観察・写真撮影をした上で各切片に含まれる細胞数と細胞断面積を計測した。 その結果、病期10週間の糖尿病群の頸髄・腰髄に軸索を送る錐体路細胞数は対照群と差がなかったが、病期20週間の糖尿病群の腰髄に軸索を送る錐体路細胞数が対照群に比べて有意に減少していることがわかった(P<0.01)。その一方で細胞断面積はいずれの群間にも差が認められないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験は概ね計画通りに進行したが、脊髄内の標的とする場所に適正な量のトレーサーを注入する技術を確立することに予想外の時間を必要となった。また、トレーサーによって逆行性標識される錐体路細胞の数は1匹あたり数万個に達するため、最も細胞密度の高い部位の切片5枚の平均値を細胞数として採用する工夫をしていたが、それでも、48匹分の解析を行うと合計10万個以上の細胞の解析が必要となったため予定外の時間を消費した。結果的に、実験は予定よりも若干の遅れを持って進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度からは予定通りに運動野体部位局在性の変化に関する電気生理学的解析を柱とした実験計画を遂行していく。また、前年度には解析を終了する予定であった、逆行性標識された錐体路細胞の解析が多少残っているが、より効率的な解析を行うための新型の蛍光顕微鏡や解析ソフトを大学予算によって導入できたため、今年度初頭にはそれらの解析も終了する予定である。
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Research Products
(2 results)