2016 Fiscal Year Research-status Report
速い呼気の産出能力を高める高齢者の腹部筋トレーニングの構築
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15K16383
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
石田 弘 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (90550400)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 呼気筋トレーニング / 腹直筋 / 外腹斜筋 / 内腹斜筋 / 腹横筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺炎は要介護高齢者に最も多い死亡原因である。誤嚥性肺炎は誤嚥物を喀出できれば発症リスクが軽減でき、そのためには速い呼気流速が必要である。 平成27年度に実施した研究で、高齢者においては内腹斜筋の筋厚が厚いほど速い呼気を産出する能力は高いという関係性を示した。一般的な呼気筋トレーニングは呼気に抵抗を加える道具を使用し、呼気に関わる筋群の強化が行われる。しかし、呼気に抵抗を加えた際の腹部筋群の筋活動量の定量化は十分に行われていない。そこで、大学生を対象にして、最大呼気筋力の30%と75%を等尺性に発揮している際の腹部筋群の筋活動量を計測した。その結果、同一負荷では、腹直筋に比べ、外腹斜筋と内腹斜筋(腹横筋)の筋活動量が高く、外腹斜筋よりも内腹斜筋(腹横筋)の動員が大きい傾向にあった。つまり、努力的な呼気において、腹部筋群の中でも特に内腹斜筋(腹横筋)の筋力増強効果が大きいと考えられる。 一方、平成27年度に実施した研究で、呼気に抵抗がなくても、速い呼気を繰り返すという運動で呼気筋力が増強できることを示した。その際に用いた運動は、最大吸気位からの瞬間的な速い呼気であった。一般的な努力肺活量の測定では、最大吸気位から最大呼気位までの速い呼気を用いる。しかし、どちらの運動様式がより腹部筋群を動員するために適しているのかは明らかではない。そこで、大学生を対象にして、最大吸気位からの瞬間的な速い呼気と、最大吸気位から最大呼気位までの速い呼気を行っている際の、呼気流速と腹部筋群の筋活動量を計測した。その結果、最大吸気位からの瞬間的な速い呼気の方が、呼気流速は速く、内腹斜筋(腹横筋)の筋活動のピーク値が高かった。つまり、最大呼気位まで吐くのではなく、最大吸気位からの瞬間的な速い呼気で、腹部筋群の中でも特に内腹斜筋(腹横筋)の動員を増やせることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
速い呼気を算出するために重要な筋を検討するための運動課題として、抵抗を加えた速い呼気を予定していたが、本年度は、等尺性で呼気に負荷を加える運動課題を用いて腹部筋群の筋活動量を検討した。そして、最大吸気位からの瞬間的な速い呼気と、最大吸気位から最大呼気位までの速い呼気を行った際の、呼気流速と腹部筋群の筋活動を比較した。上記2つの研究成果があるため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27-28年度の研究結果より、高齢者の内腹斜筋に焦点を当てた筋力増強運動を、呼気筋トレーニングの運動処方として用いることが妥当であると考え、今後の研究では、運動種目の選定と運動強度について検討していきたい。
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Causes of Carryover |
研究発表のために使用する英文校正の費用に、所属機関の教員研究費を充てたので次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の研究成果を世界理学療法学会で発表するための旅費、論文として雑誌に投稿する際の英文校正と掲載料、そして、次年度に行う筋電図を使用したデータ収集で用いる使い捨て電極などの消耗品を購入するために使用する。
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