2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effective model and its background for action observation
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15K16402
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Research Institution | Ryotokuji University |
Principal Investigator |
川崎 翼 了徳寺大学, 健康科学部, 助教 (10735046)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動学習 / 運動観察 / 手本 / 運動スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者に効果的な観察学習の手本は習熟済みの手本(完璧に近い手本)なのか、あるいは未習熟な手本(拙劣さの残る手本)なのかを明らかにすることを最終目的としている。 実験では、これまで得た「若年者において未習熟な手本の観察が運動学習に有効であった」という結果についての背景因子の検討を行った。具体的には、まず手本観察中の視線計測を行った。その結果、未習熟な手本を観察している最中と習熟済みの手本を観察している最中では、注視点の大きな違いを認めることはなかった。これは、未習熟な手本が有効となる理由として、注視点などに表されるような注意以外の認知的な影響が関与している可能性を示唆した。 次の実験として、両手本を観察している最中の脳活動の計測を核磁気共鳴画像法を用いて計測した。現在、実験を継続しており、結論を出すことは困難であるが、これまで得られたデータからは、両手本間の脳活動の大きな違いは認められていない。この実験に関しては、引き続き被験者を増やして検証を重ねる予定である。 上記の脳活動計測実験と並行し、高齢者を対象とした行動実験として、両手本の運動学習効果の違いの検証を行った。この結果、若年者の結果と同様に、未習熟な手本の観察の方が習熟した手本の観察より運動学習が進みやすいという結果を得た。 以上の結果から、未習熟な手本がなぜ運動学習に有効になるのかについての背景の解明は未だ十分ではないが、未習熟な手本自体の有効性については、確固たる結果を得た。このことは、リハビリテーション対象者の多くを占める高齢者の運動学習を促す場合、運動観察に用いる手本は、学習者のパフォーマンスに近い未習熟な手本が効果的であることを明らかにし、リハビリテーション現場への応用可能性を示したといえる。
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