2015 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患に対する新しい社会的行動練習プログラムの構築:社会的報酬の最適化
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15K16403
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
川口 敬之 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (50622768)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 報酬 / 行動学習 / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年度目に当たる本年度は、健常人を対象に社会的報酬の提示確率の相違に伴う一次運動野(M1)興奮性の検証を行うこととした。予備的研究として通貨を用いた報酬の提示確率の相違に伴うM1興奮性の検証を実施し、第一背側骨間筋に投射するM1に対する経頭蓋磁気刺激(TMS)により誘発される運動誘発電位(MEP)の大きさを指標として検討した。その際、前頭前皮質上に経頭蓋直流電流刺激における陽性刺激、陰性刺激、擬似刺激の3つの刺激条件を呈示し、前頭前皮質の機能変化に応じたM1興奮性の検証を試みた。一般に前頭前皮質が中脳を介して運動野と連絡していること考えられていることや、先行研究では報酬に伴う行動が中脳ドーパミンニューロンの活性化に伴ってM1興奮性が増加することが示されている(Thabitら、2011)ため、前頭前皮質に対する刺激条件の違いによるMEPの大きさを比較することにより、報酬提示に伴う前頭前皮質の機能的変化がM1興奮性にどのような影響を与えたかをより詳細に検討できると考え遂行した。その結果、前頭前皮質における陽性刺激条件において、脳興奮性が増加し、前頭前皮質が報酬獲得行動に関与していることが示唆された。この研究により、社会的報酬の提示方法に応じた脳興奮性の検証や2年度目の研究に向けた基礎的な知見が得られた。また、当該研究では報酬を獲得するための示指外転運動による選択反応の変化を測定しているため、実際の行動に及ぼす影響を検証することができる点で、付加的な知見が得られると期待し検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備的研究を実施した関係により、実験遂行における計画に変更が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
社会的報酬の一つとして、笑顔などの顔の表情を顔センシングシステムによって定量化し、社会的報酬の提示確率やタイミングの相違に伴うM1興奮性の検証を進める。その際に1年度目に行った実験デザインをもとにして、前頭前皮質の機能変化に伴うM1興奮性の検証を社会的報酬の提示条件にて検討することを計画している。
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Causes of Carryover |
予備的研究を行うにあたり、既に備わっている実験機器を用いて実験を遂行したため、経費として執行しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
社会的報酬としての顔の表情を定量化するために顔センシングシステムを実験機器として購入予定である。それに伴い、物品費、人件費、謝金を執行する予定である。
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