2016 Fiscal Year Research-status Report
独居者の軽度うつ状態早期発見支援システムの開発研究
Project/Area Number |
15K16411
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田嶋 拓也 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (60469583)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | うつ / 早期発見 / センサ応用 / 情報処理技術 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は軽度うつ状態早期発見支援システムの開発である. 重度うつ状態に進行する前に発見し, 適切な受療を促すことで自殺等を未然に防ぐシステムを開発する. 申請者等はこれまで圧力分布センサを用いて, うつ状態の自動発見を目指した行動認知の基礎研究を行ってきた. 本研究はこれを基に専門医の協力の下で実用的な支援システムを開発する.うつの発見と治療には, 家族や周辺の人々にも病に対する正しい知識や理解をもってもらうことが必要であるが, 現実は容易ではない. 未治療のうつ病患者は症状出現の原因が身体の病気や自分の能力不足であると考えることが多く, 専門医での治療を受け難くしている. 本研究は普段との様子の違いが気づかれ難い独居者を対象に, 各種センサを用いて睡眠障害, 摂食障害, 精神運動機能障害, 体重の異常増減, 入浴の有無等を自動検知することにより,普段との行動の違いを逸早く検知したり, 専門医からの知見を導入することによって, うつ状態の早期発見を支援するシステムを開発する.本システムでは様々な日常の行動をセンサで知覚し,特徴量として行動を認知するが,本年度はうつ病患者の100%で発症する睡眠障害について焦点を当て,これを認知するシステムを開発してきた.具体的にはベッドや布団などの寝具の上に敷くシート状の圧力分布センサを用い,体圧の変化,重心の移動,つまり寝相を検知することで入眠障害,中間覚醒,熟眠障害,早朝覚醒などの基本的な不眠における睡眠障害を認知し,うつ状態かどうかの診断指標の一つとする.現在までに,6名の成人男女の協力を得て,睡眠動態の実験を重ねているところである.また,圧力値で寝返りや覚醒などの体動をどのように定義するかを検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を進めるにあたり,大学内の実験室の空調に問題があり,夏に暑くて眠れないという被験者が現れたため,睡眠を取るために適切な空調機能を持つ実験環境の整備の必要が生じ,これを準備するのに時間がかかってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
使用しているセンサと同型のものを他研究室から借り受けられる手続きを進行している.これにより,実験の実施スピードは倍増できるものと考えており,遅れを取り戻せると考える.
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Causes of Carryover |
使用する機材の選定において,目標とする性能が得られるかを十分に検討する必要があり,前年度の予算執行に間に合わなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
機材の調達は完了してたため,今後は残予算を実験環境の使用料や人件費に充当していく考えである.
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