2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの歩行及び障害物回避動作に関する視覚機能‐動作機序の解明
Project/Area Number |
15K16413
|
Research Institution | Tokuyama College of Technology |
Principal Investigator |
宇野 直士 徳山工業高等専門学校, 一般科目, 助教 (70713212)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | またぎ動作 / 視覚障害 / 網膜色素変性症 / 三次元動作解析 / 位置知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う生理的・病理的変化により,環境を認識するための視覚情報処理機能は低下する.これまでに,視覚障害者の障害物回避に纏わる事故が多数報告されている.特に,移動中に段差でつまずいて転倒した事例や,前方の障害物を回避するために迂回したことで,側溝や駅ホームに転落した事例が絶えない.そのため,視覚障害が障害物回避動作に与える影響を検討する必要がある. 今年度は,網膜色素変性症を原因疾患とする視覚障害者の障害物またぎ動作分析から,視覚障害が障害物またぎ動作に与える影響を検証した.2種類の高さが異なる障害物をまたぐ際の動作を複数台の高速度カメラで撮影し,得られた三次元座標値から以下のパラメータ等を算出した.LLステップ長:LL離地からLL接地間の距離,LL上昇時間:LL離地からLL最高点までに要する時間,LL下降時間:LL最高点からLL接地までに要する時間,LL足部軌跡:LL踏切位置,LL障害物上最高点,LL最高点をプロット,5回繰り返したまたぎ動作におけるLLの障害物上最高点と最高点のばらつき.なおLL(leading limb)は障害物を先に越える下肢である. その結果,全ての障害物条件において,視覚障害者のステップ長およびつま先拳上時間は健常者と比較して有意に高い値を示した.また,またぎ動作時のLL軌跡から,視覚障害者の踏切距離,障害物上最高点及び最高点は健常者と比較して有意に高い値を示した.以上の結果は,障害物高に限らず,視覚障害者は健常者よりも障害物に対して時間的・空間的余幅を確保しながら慎重に動作する傾向があることを示唆している.さらに,LLの障害物上最高点と最高点のばらつきは,15cmの障害物高において,視覚障害者の方が有意に高い値を示した.このことは,健常者は視覚情報をフィードバックすることで最小努力によるまたぎ動作を安定的に企図することを示唆している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験を遂行し,当該年度の目的を達成したため.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究2では視覚障害者の障害物回避動作の特徴を検証し,一定の成果を得た.今後は研究2の成果をふまえて,H29年度前半に全盲者の間接的触覚情と位置知覚の正確性に関する実験をおこなう.測定方法等は当初の予定通りに遂行する.
|
Research Products
(4 results)