2016 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between acquiring motor skills and physical competence through a task-oriented intervention for children with developmental coordination disorders
Project/Area Number |
15K16425
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
村上 祐介 金沢医科大学, 一般教育機構, 助教 (70744522)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 課題指向型アプローチ / 運動発達 / 適宜性 / 発達性協調運動障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、発達性協調運動障害(DCD)児への支援の枠組みの一つである課題指向型アプローチを実施し、参加するDCD児の運動技能の向上が、自己認知にどのように影響するのかを明らかにすることを目的とした。 昨年度までに行われた3名の対象児への課題指向型アプローチの結果を踏まえ、今年度は対象児ごとの運動面及び心理面の質的な分析を行った。その結果、それぞれの対象児は、自身の運動技能の向上を自覚し、目の前の運動課題に対して「できるかできないか」という判断だけでなく、「どのようにすればできるか」を考えながら課題に取り組んでいる様子が示された。例えば、ボールを使った的当て課題では、数種類のボールの中から自分が投げやすいものを選択したり、的までの距離を自分の判断で調整するなどの行動が示されるようになった。これらの行動は共通して、今の自分が達成できる課題、言い換えれば課題を自分に適合したものに変えていく行動として捉えられた。そして、このような行動に伴って新たな運動課題を達成していくことで、運動を行うことに対して自信を持つようになって行く様子が確認された。また、これらの行動変容が生じるきっかけは、対象児ごとに課題特定的であった。 このような対象児の変化に関連して、Bernstein(1996)は運動発達理論の中で、「自分自身の動作を理解し、個性にもとづいた自分に最も適した運動を仕立てる」ことの重要性を指摘し、「適宜性」と称している。つまり、運動発達支援の一貫としてDCD児に課題指向型アプローチを実施する際には、単純に達成できる課題を増やしていくだけでなく、課題に対して適宜的に行動していく能力を高めることが必要であると考えられた。
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