2015 Fiscal Year Research-status Report
指導教員の「省察」に着目した体育科模擬授業の指導の方法に関する研究
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15K16435
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
村井 潤 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (90610890)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 問題の設定 / 問題の枠組み / 観察録 / 逐語録 / 帰納的分類法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小学校教員養成段階において体育授業に関わる「問題の設定」を行う力を身に着けさせる指導の在り方を検討するために、「1.指導教員の『問題の枠組み』」と「2.学生の『問題の枠組み』の組み換え指導の実態」を明らかにすることが必要である。 そこで、平成27年度は当初の計画通り、これらを明らかにするための基礎資料の収集とそのデータ化を行った。まず、「1.指導教員の『問題の枠組み』」を明らかにするための資料として、指導教員が平成18年度から平成26年度に作成した模擬授業の観察録を収集した。収集した観察録は模擬授業94回分であった。そのうち、平成18年度から平成23年度までの44回分が3年生対象の授業、平成23年から26年度までの50回分が4年生対象の授業で作成されていた。また、「2.学生の『問題の枠組み』の組み換え指導の実態」を明らかにするための資料として、対象の指導教員が指導する体育科模擬授業の様子を調査した。調査した模擬授業数は、4年生対象の授業が8回、2年生対象の授業が24回の計32回分であった。対象授業では、指導教員が模擬授業中に作成した観察録と模擬授業後の協議会において学生がホワイトボードに記入した模擬授業の「問題」についての記述及び協議会での指導教員の指導のビデオ映像を収集した。 次年度の分析に備え、これらの資料の電子化を行った。まず、模擬授業の観察録は、記述内容を熟読し意味文節に区切った。その際、前後の意味文節も区別できるように併記し、前後の文脈がわかるようにした。これらの意味文節には通し番号、日時、模擬授業で実施した運動などの情報を付記し表計算ソフトに入力した。次に、学生が記述した模擬授業の「問題」については、学生が箇条書きで記述していたため、箇条書きをそのまま表計算ソフトに入力した。そして、指導教員の指導のビデオ映像は、指導教員の発話の逐語録を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、「1.指導教員の『問題の枠組み』」と「2.学生の『問題の枠組み』の組み換え指導の実態」を明らかにするための資料の収集が主たる研究活動であり、計画通り資料の収集を行うことができた。しかし、当初の計画では収集した資料のすべてを電子化する予定であったが、すべての資料を電子化することはできなかった。それは、「1.指導教員の『問題の枠組み』」の資料については、指導教員の観察録が複合的に記述され意味文節に区切ることに時間を要し、また「2.学生の『問題の枠組み』の組み換え指導の実態」の資料については、指導教員の発話内容の分量が多く、逐語録の作成に当初の予定より時間を要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は研究計画通り、「2.学生の『問題の枠組み』の組み換え指導の実態」についての資料の収集を行う。収集する資料は、平成27年度の調査と同様である。また、調査と並行して、収集した資料の電子化を行う。ただし、平成27年度に電子化できなかった資料を優先して電子化し、研究の遅れを修正する。特に「1.指導教員の『問題の枠組み』」研究に関する指導教員の観察録は、平成28年度に分析する予定であるため、優先して電子化を行う。 指導教員の観察録の分析は、意味文節化した記述を帰納的に分類することで、指導教員の「問題の枠組み」を把握することとする。分類の結果は研究協力者による「仲間同士での検証」を行う。このことから、研究協力者との連絡を密にし、「仲間同士での検証」が円滑に進められるようにする。 なお、平成27年度は研究資料の収集が主たる活動であったため、研究成果の学会発表や論文投稿等を行えていない。平成28年度は「1.指導教員の『問題の枠組み』」についての資料を分析するため、分析結果をまとめて学会発表や論文投稿を行い、研究成果の一部として公表したい。
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Causes of Carryover |
本研究では、収集した資料のうち、指導教員の指導内容の逐語録を作成するためにアルバイトを雇用した。しかし、逐語録の作成が遅れたことから予定していたアルバイト賃金に余剰が生じたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成27年度に逐語録を作成できなかった資料の逐語録を作成するため、そのアルバイト賃金に充てんする。
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