2016 Fiscal Year Research-status Report
ピルエットにおける角運動量の獲得とバランス保持に関係する体肢の運動の特徴について
Project/Area Number |
15K16446
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
井村 祥子 神奈川大学, 人間科学部, 非常勤講師 (30586699)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 回転動作 / 角運動量 / バランス / 協調動作 / バレエ / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、研究の土台となるデータを作るべく本実験の実施及び解析手法の習得に時間を割いたため、本研究における実験結果についての学会発表及び論文投稿などの実績はなかった。 当該年度に行った研究活動として、前回の科研費での研究成果のまとめ、実験計画、予備実験及び本実験、解析手法の習得であった。本研究の母体であった前回の科研費の課題についての研究発表を7月に国際学会大会発表として行い、2月に国際誌に投稿した。これらの研究成果によって、シミュレーションを行う前段階として、体肢の運動力学が全身の重心の運動に与える影響を実データで確認することが優先されるべきであると判断した。また、体幹の筋群による体幹の運動力学のコントロールについてまとめていくことが重要であることを新たに認識した。そこで当初の研究計画を変更し、体肢の運動による体幹の運動への影響を実データから推測するInduced Acceleration Analysis(IAA)の手法を習得し、研究成果に加えることとした。
当該年度では新しい実験環境での回転動作実験を行う必要があったため、カメラテスト・マーカーセット・形態計測法などの予備実験を4回ほど行った。本実験では、計15名のプロバレエダンサーによる回転動作の撮影を行った。予備実験で得たデータを用いて、研究のメインリザルトとなるInduced acceleration analysisの手法について、体肢を想定した3リンクの解析について習得した。
研究内容を新たに加えたことは、当初の研究計画の進度を遅滞させることになるという見方もあるかもしれない。しかしシミュレーションにおいてモデルにバランス保持させるためには、様々な変数の入力範囲を限定することが結果に到達する早道であることを過去の研究結果から認識している。そのため、IAAを先に行うことを判断した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析の内容を一つ増やしたので、当初の計画からするとやや遅れているといえる。しかし新たに付け加えた解析手法については、基本となるプログラムを完成し、全身に適応するように改良することが次年度の解析の主な作業となる。メインリザルトにたどり着くまでに後3か月ほどかかると見込んでいる。このような進捗状況から、当初の研究計画による成果を得るには内容が一つ増えて遅れているといえるが、研究の効率性から判断すると順当であると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在のプログラムに、体肢からの運動力学情報を組み込んだ体幹部分の解析プログラムを作成する(所要時間3か月)。その後全身の解析に入り、メインリザルトを得る。まずは角運動量獲得までの局面について上肢の運動による体幹への影響についてまとめ、次に下肢の運動による体幹への影響についてまとめる。次に回転局面(片脚支持中)において主に下肢の運動が全身の質量中心の運動に与える影響についてまとめる(10か月)。それぞれの段階において随時学会及び論文として成果をまとめていく。その翌年度の内容として、シミュレーションを行っていくため、その基礎データを随時整理していく。
|
Causes of Carryover |
本課題がスタートした初年度に産休及び育休を取得していたため、当初の使用計画と相違が生じている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度では解析のためのソフトのライセンス維持費、論文投稿時の英文校正代金、学会参加費、追加実験を行う際の消耗品や人件費に充てる。
|