2017 Fiscal Year Research-status Report
20世紀日英米における学校運動部活動の展開に関する比較史的研究
Project/Area Number |
15K16447
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中澤 篤史 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (70547520)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スポーツ文化 / 運動部活動 / 歴史 / 日本 / アメリカ / イギリス / 比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本のスポーツ文化は、地域社会のクラブではなく、学校の運動部活動によって支えられてきた。これまで研究代表者は、この日本の運動部活動の形成・拡大・維持プロセスを分析し、スポーツと教育の関係を考察してきた。本研究は、それを国際的なスケールに発展させて、日本・英国・米国の運動部活動の歴史を比較する。具体的には、20世紀の英国と米国における中等教育機関の運動部活動の展開を分析し、各国のスポーツと教育の関係性、およびそれらを生み出した歴史的・社会的要因を比較史的に考察する。それを通じて 、スポーツが教育へ強く密接に結び付く日本の特殊性を明らかにすることをめざす。 2017年度は、引き続きアメリカと日本の歴史分析を深めながら、イギリスの歴史分析にも着手した。アメリカについては、1880年から1930年を運動部活動の成立期と見定め、革新主義的な教育改革、大人によるユーススポーツの組織化、学校体育連盟の設立という社会的文脈が与えた影響を検討した。また20世紀後半の展開については、1970年代に男女平等、1980年代に商業主義、そして学業との両立を論点として検討した。この間、資料蒐集面では、重要な一次資料も発掘できた一方で、訪問を予定していたニューヨークの公立学校運動競技連盟が事務局移転のため資料を廃棄したことがわかり、研究計画の変更を余儀なくされた。日本については、アメリカとの比較も念頭に置きながら、戦後の学校体育団体が競技大会をどう運営してきたのかを検討した。イギリスについては、20世紀史を制度面の変遷から検討するとともに、19世紀史についても検討した。19世紀イギリスの運動部活動のあり方は、20世紀のそれの基盤になったとともに、アメリカに対して強い影響を与えた点でも重要だと認識し、新たに検討に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に照らして、やや遅れている。理由は、資料蒐集が困難になったことと、新たな検討課題が見つかったことが関連している。アメリカの歴史分析については、訪問を予定していたニューヨークの公立学校運動競技連盟が事務局移転のため資料を廃棄したことがわかり、資料蒐集が困難になった。イギリスの歴史分析については、当初は予定していなかったが19世紀史についても検討することが重要と判断し、それに着手した。日本の歴史分析および三カ国を比較分析についても、競技大会を運営する学校体育団体の歴史を比較検討することが重要な課題として浮かび上がってきたため、着手している。こうした新たな検討課題が見つかったことで、当初の計画を変更せざるを得ない部分もあるが、運動部活動の三カ国の歴史的特徴を明らかにする作業を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は最終年度であり、日本・イギリス・アメリカの運動部活動の展開を整理し、各国のスポーツと教育の関係性、およびそれらを生み出した歴史的・社会的要因を比較史的に考察し、さらに、スポーツが教育へ強く密接に結び付く日本の特殊性を明らかにすることをめざす。合わせて、到達点と限界を示しながら、今後に残された課題も整理する。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに、研究費を使用している。わずかに残った分は、次年度に資料収印刷費等として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)