2015 Fiscal Year Research-status Report
エリートジュニアアスリートにおける形態と筋力の縦断的調査
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15K16483
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
熊川 大介 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 研究員 (40439279)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジュニアアスリート / トレーニング / 発育発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、エリートジュニアアスリートの筋形態と筋力を縦断的に測定することによってそれらの発育・発達傾向を男女別及び専門種目別に明らかにすることである。1年目となる平成27年度はデータ収集、分析及び学会での公表を主たる目的として活動を行い、概ね計画通り遂行することができた。 このうち、13歳の女子フェンシング選手を対象として、これまでのフェンシングの競技経験がある選手とない選手における大腿筋群の縦断的変化を比較検討し、国内の学会にて発表した。一般的にフェンシング選手の形態的特徴は左右で異なり、前に踏み出される脚の大腿囲や筋横断面積が後脚に比べて著しく大きいことが知られている。一方、このようなプロポーションが形成される過程については不明な点が多く、とりわけ競技経験の無い選手における下肢筋群の発達過程を縦断的にとらえた報告は存在しない。 本研究の主な結果としては、経験者における全筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの横断面積は13歳の段階で前脚が後脚に比べて大きく、全筋断面積の前後比は測定期間中に著しい変化は認められなかったのに対し、未経験者における全筋断面積の前後比は13歳(競技開始)から著しく増加し、1年間で明確な左右差が認められるまでに至った。 この結果は、専門的なスポーツ活動が無い一般児童・生徒においても比較的短期間でトレーニング効果が現れることを意味しており、さらにこの時期の女子アスリートのトレーニング効果は、少なくとも小学生までの競技経験の有無に影響されることを示している。このようなフェンシング選手で行った検討を、今後は他の競技にも応用することでジュニアアスリートの縦断的な発育発達様相を捉えていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は4年間にわたる縦断研究であるため、その1カ年目の平成27年度に計画していた測定はほぼ予定通り実施することができ、学会発表も行うことができたため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、引き続き5競技種目のジュニアアスリートにおける体力測定を実施し、これまでのデータを国際学会で発表するとともに、論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
被検者に支払う謝金を計上していたが、データのフィードバックを行うことにより謝金の必要がなくなったため。また、PCの購入を予定していたがスペックの検討や職場での使用環境に検討が必要なため未だ購入していないことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、平成27年度に購入予定であったPCを購入することと、論文作成費、国際学会旅費、測定・分析補助者に対する謝金等で使用する予定である。
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