2015 Fiscal Year Research-status Report
発育期サッカー選手における腰椎分離症の発症要因と腰椎骨盤リズム破綻の解明
Project/Area Number |
15K16492
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
戸島 美智生 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (10735442)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発育期 / サッカー / 動作解析 / 腰痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
発育期サッカー選手における腰椎分離症の発症要因と腰椎骨盤リズム破綻を解明することを目的に、平成27年度は発育期男子中学生サッカー選手を対象に、立位体後屈を三次元動作解析装置で測定することができた。測定は春と秋の2回であり、対象者を縦断追跡調査した。測定内容は腰痛発症有無の調査、立位体後屈中の腰部と股関節の伸展角度である。これらの結果から、腰椎骨盤リズムとして股関節伸展運動と腰部伸展運動の曲線推定を用いた。また、Lumbar hip ratioとして腰部伸展角度を股関節伸展角度で除した。 その結果、体後屈型腰痛を発症した群の半数以上において腰椎椎弓部に炎症が認められた。春の横断調査では、非腰痛発症群と比べ、腰痛発症群では腰部伸展運動が小さかった。股関節伸展運動では両群に有意な差がなかった。Lumbar hip ratioは非腰痛発症群と比べ、腰痛発症群で小さかった。また、股関節伸展1°に対する腰部伸展運動は、非腰痛発症群と比べ、腰痛発症群で小さいことが明らかになった。つまり、腰痛発症群では非腰痛発症群に対して、股関節に対する腰部の伸展運動が小さいことが明らかとなった。 さらに縦断追跡調査では、春から秋の測定にかけて腰痛を発症した群で、同時期に腰痛を消失した群と比べて、股関節伸展運動に対する腰部伸展運動が大きかった。また、腰痛を発症する群では、秋の調査で腰部伸展運動が小さくなることが分かった。股関節伸展運動の制限には、発育期特有の筋伸長性の低下、大腿直筋などの股関節屈筋群タイトネスの高さが影響していることが示唆された。 横断調査の結果は、Gait and Clinical Movement Analysis Society 2016 Meetingで発表することが採択された。また、縦断追跡調査の結果は、34th International Conference on Biomechanics in Sportsで発表することが採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の横断調査内容は国際雑誌に投稿中であり、縦断追跡調査内容も解析して国際雑誌へ投稿予定である。しかし、多くの研究協力者を測定できなかったため、今後も継続募集して研究協力者を増やす必要がある。また、発育期スポーツ選手(小学生)の腰部MRIを測定することができたため、腰椎分離症の発症との関連性を解析する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究協力者数を増やし、統計学的に結果を明らかにする。また、当初の予定より早く進めることができた場合には、サッカーキック動作の解析と腰椎分離症発症との関連性へと発展応用することができる。なお、測定項目を増やしても、研究目的達成への影響はない。
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Causes of Carryover |
平成27年度は被験者数も少なく、実験補助者への謝礼がなかった。また、学会発表への参加がなく、投稿論文に関する費用も生じなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、被験者数を増やし、実験補助者への謝礼が増える予定である。また、国際学会へ2回参加することが決まり、発表した内容を論文として投稿するため、これらの費用を支出する予定である。
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