2016 Fiscal Year Research-status Report
筋のリラックスに関わる神経機構の解明および運動機能獲得への応用
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15K16494
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 孝基 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (10750771)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 運動抑制 / 二肢協調動作 / TMS |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、筋弛緩の運動イメージを行う際の大脳皮質脊髄路興奮性を明らかにすることを目的として研究を行った。これまでの我々の研究により、筋弛緩イメージを行うと、その筋を支配する皮質脊髄路の興奮性が安静時よりも低下することや、筋弛緩動作は他肢を支配する抑制機構に影響を及ぼすことが明らかになっている。さらに、足関節筋の収縮イメージは手関節筋の皮質脊髄路興奮性を上昇させることも報告されている。本研究では、足関節筋の弛緩動作をイメージする際に一次運動野の手関節領域に経頭蓋磁気刺激(TMS)を行い、弛緩のイメージが他肢の神経機構に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。被験者(12名)は、音刺激に素早く反応して、足関節筋の弛緩(背屈位からの弛緩および底屈位からの弛緩)動作および動作イメージを行った。弛緩動作(イメージ)が行われる直前直後に一次運動野の手関節領域にTMSを行った。手関節屈筋および伸筋から得られた運動誘発電位(MEP)より皮質脊髄路の興奮性を評価した。その結果、足関節筋弛緩時には、手関節筋群の皮質脊髄路興奮性が足関節安静時よりも有意に低下することが明らかになった。さらに、足関節筋の弛緩のイメージを行う際にも、皮質脊髄路の興奮性が足関節安静時よりも有意に低下することが明らかになった。また、個人間でリラックス動作時のMEP低下と、弛緩イメージ時のMEP低下の間には相関関係があることが明らかになった。したがって、ある筋の弛緩イメージは他肢の神経機構に影響を及ぼすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは多少異なった研究内容となったが、筋弛緩の神経メカニズムを明らかにするという点で有益な結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、さらなる制御機構を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品等で当初の予定と差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費および消耗品購入にて使用する予定である。
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